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【向いてる?】発達障害×理系就職の相性

こんにちは。

この記事を読んでいる人の中にも「発達障害なら理系に行け!文系だと人生詰む!」みたいな記事を見た人もいるはず。

ただ、実際に発達障害と付き合いながら理系的に働く人の話はあまり出てきません。

そこで今回は、ASD/ADHD混合の発達障害を持ちながら、障害クローズで技術職として働く私の体験も踏まえて、「発達障害の人は理系就職した方がいい」は本当か?を書いてみます。

POINT結論から言えば、理系進学と理系就職はお勧めです。ただし2つのデメリットが…

メリット-就職はとてもしやすい

IT系はもちろん製造業の技術者は超人手不足です。特に若手人材は足りない状況が続いています。私自身が就活をしていても、理系の就職は以下のように恵まれていました。

  • 文系なら早慶しか内定できないが、理系の場合無名校の学生も
  • 文系は5回以上面接があるが、理系は2回だけ

「発達障害の特性が問題になるかは上司/部署ガチャ次第」という面もあり、とりあえず簡単に内定が取れることのメリットは大きいです。

働きやすさは会社次第

発達障害でも理系なら就職しやすいと書きましたが、働きやすさはどうでしょうか?

個人的には「理系就職の方が働きやすい」と思います。どちらかといえば顧客に会う頻度が少ないからです。

よほど製品力が高い企業を除き、基本的に顧客が優位になるため、顧客と近い業務ほど仕事の柔軟性は減ります。

  • 定期的な通院が難しく、投薬ができない
  • 無茶な納期に間に合わせるための過重労働

会社に来てわかりましたが、理系職の場合これらをある程度回避可能。その理由は次のようなことが考えられます。

メリット-明確な”ノルマ”が個人に与えられにくい

技術者に課されるのは、コストカットや各種の品質改善です。会社の上層部の人たちが商品全体の数値目標を策定し、その後各部署が担当する領域ごとに数値目標が設定されます。数値目標になるのは例えばこんな感じです。

  • コスト(販売価格に響く)
  • 品質(低いと顧客からクレームが来る)
  • 工数(人件費に響きます)

業務ではこれらを調整しますが、関係者が多すぎるため「誰のせいで目標が達成できなかったのか」が曖昧になりがち。そのため、個人に明確なノルマが課されることは少なく、鬼のような残業は回避しやすいと感じます。

注意

担当の仕事はちゃんとあり、その責任は取らされます。また、本当に柔軟な働き方ができるかは配属ガチャ次第なところも

 

なお、顧客の急な要望にどの程度振り回されるかは業界や顧客との力関係によって変わってきます。食品やアパレルのように新商品の締め切りが毎日のようにあり、しかも顧客の力が強い業界は避けた方がいいでしょう。

一方、製品化までの時間が長く顧客との力関係が強い業界、例えば産業機械や自動車本体メーカーはASDの特性が強い人でも働きやすいと思います。

私自身も機械メーカー社員ですが、ASDやADHDの特性があっても2年は働けています

デメリット-勤務地が僻地になるリスクが大きい

理系就職ではメーカー・インフラ・ITあたりが一般的です。このうちメーカーとインフラ業界は基本的に勤務地が田舎にあります。

その田舎レベルは電車が1時間に1-2本以下という感じ。特に旭化成の延岡工場のように普通電車が1日1本しかない…というケースもあります。発達障害の治療薬は車の運転に注意が必要なものがほとんどなので、車通勤必須の勤務先はお勧めできません。また、車の購入代金は補助してくれないため、その負担(月あたり3万円くらいでしょうか)の負担が重いらしいです。

もちろん、メーカーでも勤務地がそこそこ以上の都会しかない弊社のような企業もあります。また、勤務地を応募時に確定できる企業も一部あるのでそういった企業を選ぶことがオススメ。ただし東京並みの電車の本数を期待するのは…無謀です。

注意

ITもSESのような人材派遣をする企業なら僻地勤務のリスクがあります。

 

デメリット-大学同期に比べて給料が低い

文系の大学同期がよく行く銀行や商社と比べれば、メーカーやインフラは給料が低いです。業界内の序列が同じくらいの企業だと新卒の時点で5%位、40歳前後で20%位差が低い感じですね*1

これはインフラやメーカーの労組が強いこと、利益率の低い産業であることも原因ですが、メリットで書いたことも原因の1つです。メリットで書いたように明確なノルマがないため成果と責任が不明確になります。その結果給料の格差がつけにくくなり良くも悪くも高給取りにはなりにくいのです。

ただ、生活水準の面ではさほど不便には感じません。というのも仕事が終われば真っ直ぐ家に帰るため無駄遣いが少ないこと、年収が低いほど税金は少なく助成額は増える傾向にあること、発達障害者が受けられる社会福祉サービスが比較的充実していることの3つがあるからですね。 田舎になりがちなメーカーやインフラだからダメ!ではなく、電車の本数や自治体の障害者支援をよく調べて就職先を決めるのが大事です。

まとめ~おススメだが部署選びの方が大事~

ここまで書いてきたように、発達障害の人と理系就職は概ね相性がいいと思います。

ただ、理系といっても企業・部門ごとに働き方は異なりますし、企業のホワイト度は結局会社と上司次第です。そのため就活では次のような準備が大事です。

  • 仕事で問題になる自分の特性を明確化する
  • 障害は伏せつつ特性と業務の相性をOBや面接官から聞く

そのうえで、自分の特性でも長く働けそうな部門に入りやすい企業を選ぶべき。できれば部門別採用の企業の方が向いているように思います。

注意

同じ企業であれば総合職採用より部門別採用の方が難易度高いことが多いです。配属先を優先するなら業界内の序列が下位の企業を見ることをお勧めします

 

*1:もちろんキーエンスやディスコのような超高給な企業もあります