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【人間科学区分】8年で院卒の合格率が2倍!国家総合職の合格者数変化

こんにちは。

 

心理系の就職と言えば公務員心理職。その中で最高峰が国家総合職(人間科学区分)です。有名大学の学生なら院試対策の一環でとりあえず人もいるとか。

そんな国家総合職は院卒と大卒で異なる試験を受けますが、試験内容や倍率は院卒/大卒で大きな差があります。今回は国家総合職の試験概要から倍率、採用される官庁までの情報を、人間科学区分に絞って深く解説していきます。

試験のポイントと採用まで

いわゆるキャリア官僚である国家総合職ですが、心理・教育・社会学系の人を専門に採用するための試験区分が人間科学区分です。

ここでは、そもそも人間科学区分ってなんだ?という人のために、人間科学区分のポイントと採用までの流れを1枚の画像にまとめました。

 

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試験内容はほぼ同じですが、2次試験に院卒は政策討議*1、大卒は論文が課されるという違いがあります

画像の中でも書きましたが、大学生にとっては院試対策として丁度いい一方、申込から採用に至るのは大卒でわずか2%という難易度です。院試ではありえない倍率....。

人事院公表データ-倍率と採用官庁-

さて、ここからが本題です。国家総合職の試験区分は10程度ありますが、人間科学区分の受かりやすさと採用されやすい官庁について、現行の試験制度になって以降の人事院公表データから解説します。

院卒は大卒より有利

最初の画像でも書きましたが、国総の人間科学区分は院卒と大卒程度に分かれています。人間科学区分の特徴を知るため、まずはこちらのグラフをご覧ください。 

このグラフは現行の試験制度になった2012年度以降に実施された国家総合職人間科学区分の申込者/最終合格者の変化をまとめています。データが揃っている2014年度を100としたときの申込者/最終合格者の数値です。(以下「指数」とします)

まずここ数年は人間科学区分の申込者は毎年減り続け、2021年度は院卒で85、大卒で71と大きく減少しました。「官僚はブラック」というイメージが学生間で共有されたためでしょう。

一方で合格者は院卒/大卒程度で大きな差があります。大卒は申込者減以上に最終合格者も減っています(2021年度は63)が、院卒はほぼ毎年最終合格者が増え、2021年度は144まで増えました

これだけでたった8年で急激な院卒優遇に舵を切ったことがわかります。国家公務員の場合、最終合格=採用ではありません。本当に院卒優遇かは採用数も見る必要があります。。

このことを明らかにするため、データが揃っている2014年以降で「申込→最終合格」、「最終合格→採用」の倍率を院卒/大卒程度で比較しました。院卒の方が有利なら緑、不利なら赤で塗っています。

これを見ると、最終合格までは大卒の方が毎年狭き門と言えます。最終合格から採用で考えても、概ね院卒優遇と言えそうです。

採用する官庁

続いて採用されやすい官庁を調べましょう。建前では事務系ならどの官庁も採用となっていますが、実際のデータでは法務省と厚労省に採用が集中しています。


おそらく人間科学区分用の枠を持っているのがこの2省しかないからでしょう。では院卒/大卒程度で採用される官庁に差があるのかを見てみます。

ここでは、人間科学区分の枠がある法務省と厚労省に加え、比較的採用者が多い文科省の採用人数を調べました。なお、この3省以外の採用者をその他にしています。

見ると一目瞭然ですが、法務省が圧倒的です。そしてその他に至っては採用0の年もちらほら。このような極端は偏りは人間科学区分特有の現象です。

人間科学区分の場合、「行き先が3省しかないけど、本当にいいのか?」を申込時によく考えておくべきでしょう。志望度の高い3省だけ訪問し1クール目で全滅...になりかねません。

まとめ

今回は人間科学区分に絞って倍率や採用される官庁を細かく解説しました。要点は次のようになります。

  • 院卒は受験者数は減少しているのに合格者が増加(対数年前)
  • 最終合格/採用の両方を見ても院卒が有利
  • 採用する官庁は法務省に集中

全て人事院が公表しているデータですが、それでもここまでわかります。この記事が人間科学区分を受けたい方の参考になれば幸いです。

国総の倍率はわかった、対策をしたいという方はこちらの本を使ってみるといいでしょう。心理系公務員の本としては珍しく数年ごとに更新、しかも選択式中心ですが丁寧な解説付きです。受験される方はぜひ。

*1:民間企業におけるグループディスカッション