こんにちは。
私は心理学専攻から機械系メーカーの技術職に就きましたが、最近は学会誌(心理学ワールドとか)でも、心理→技術職に就く人をよく見ます。
社員目線で見ていても、昔より増えたと感じます。
そこで今回は、現役社員の目線から見た(特にメーカーで)心理学人材が増えた理由を解説します。
toBビジネス中心メーカー社員たる私個人の意見であり、特定企業・組織の公式見解ではありません。
理系院卒のコンサルへの流出
多くのメーカーで今も昔も欲しい人材は機電系の院生。工学系研究科か工学部の学生です。
彼らを中心とした理系学生は、15年ほど前まで学校推薦でメーカーに就職するのが普通でした。学生にとってはほぼ確実に大企業に入れる安心感があり、企業にとっては次のメリットがあるからです。
- 共同研究先になりうる教授とのコネクション確保
- 大量採用で忙しい人事部の負荷削減
- 新卒社員の一定の質確保
しかし近年、理系院卒が学校推薦によるメーカー就職から、自由応募のコンサル・商社・ITに目を向けるようになりました。これらの企業はメーカーより高収入かつ勤務地も都市部が中心。昨今の学生のニーズに合致しています。
他業界に理系院卒が流出して採用枠を埋められないメーカーは、他分野の学生で埋めざるを得なくなりました。
一方で心理系の学生の就職先の選択肢は少なく、専門性を活かした安定就職といえばほぼ公務員一択です。安定は欲しいが専門性は活かしたい学生と、専攻はともかく採用枠を埋めたい企業のニーズが一致した結果、心理系を技術者として取るようになったのだと思います。
ダイバーシティ
最近はどこの企業もダイバーシティ推進を主張しています。が、どのような属性を多様にしたいのかを明確にできている企業はあまりない印象。
すぐに辞められるリスクが小さく、今までより社員の属性が多様になる…という意味でも心理をはじめとする他分野出身者の積極採用は理にかなっています。
商品のコモディティ化
家電やクルマにおいて顕著ですが、どの商品を買っても基本機能にはほとんど差がなくなりました。いわゆるコモディティ化です。
コモディティ化は価格競争に繋がりますが、価格競争で勝ち残れる企業の数は限られています。
そこで、機能の追求から体験の提供へと重視にメーカーも考え方を変えていきます。しかしその為にはユーザをよく理解することが必要です。
心理系学生の質問紙作成スキルなどはこういったトレンドと相性が良く、しかも中途採用より安価に採用できます。大量採用な分人材育成でも効率的です。
結果として、心理系学生の採用は1つの選択肢になったのだと考えます。
心理系の学生は就活に集中しやすい
現在の就活はインターン参加が当たり前になり、大学2年の終わり頃(修士卒就職なら学部4年の終わり頃)から動く人も増えてきました。
最近は理系の院生さんもある程度就活に集中できるようになってきましたが、必修の授業が多く自由な就活が難しい…という人も多くいます。
一方心理系の学生は、ある程度授業を自由に取れます。効率良くやれば私のように学部3年の前期終了時に卒業をほぼ確定させることも可能です。就活に時間をかける必要が増した現在、授業の自由度の高さは大きな強みです。
まとめ
今回は心理系人材の技術系での採用が増えた理由を解説しました。
- 理系人材で埋められない採用枠の代替
- 消費者を理解するスキルの保持
- 就活に集中できる時間
この3つが揃ううちは、心理系人材をメーカーが採用する流れは続くと思います。実際に就活をする心理系学生の皆さんは、こういった事情を知っておくと役に立つかもしれません。
心理学の専門性を活かして就職したい学生の皆さんは、この記事で企業選びなどを知ってくださいね。