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【所得を上げるな?】発達障害クローズでの企業の選び方

就活生のみなさん、こんにちは。

発達障害などを隠して働くクローズ就労を目指す就活生の皆さん、どんな条件を重視して勤務先を選びますか?賃金や勤務地など、いろいろあると思います。

ただ、ADHD当事者の私がクローズ就職し数年働いて分かったのは、「健常者と同じ就活ではリスクが大きすぎる、年収よりも制度面の充実が大事」ということです。

そこで今回は、クローズ就労だからこそ重視したい就労環境について紹介していきます。

年収が重要ではない理由

働く理由=お金が欲しいから!という人がほとんどでしょう。私もそうです。ですが、障害者の場合あまり年収は重要ではありません。むしろ働きやすさの方が大事。

その理由は”控除と社会福祉”にあります。控除とは給料から勝手に引かれるもの*1所得税や住民税、健康保険料や社会保険料などのことです。この控除額は年収が上がるほど増えていきます。

そして、我々発達障害者には”社会福祉”というサービスもあります。主なものを挙げるとこんな感じ。

  • 自立支援医療
  • 公営住宅への優先入居
  • バスなどの割引券

私もこれらのサービスの恩恵に預かっており、社会福祉なしには今の資産額は考えられないほどです。

しかし、これらの社会福祉サービスには所得制限があります。

所得制限を超えてしまうと、これら魅力的な社会福祉サービスを使えなくなったり値上げされてしまうのです。この観点から、発達障害の特性を持つ人は”稼ぐと可処分所得減る”現象が起きやすいことは知っておきましょう。

一方で、貯金などの資産には課税されません。年収は低くとも働き続け、それを貯金する生活の方がよほど幸福度が高いのではないでしょうか。という観点から、会社を選ぶ際に重視すべき制度を解説します。

注意

働きやすさは配属先や上司次第ですが、入社前にはわからないので気にするだけ無駄です。強いていうならオープンワークで評価の極端に悪い企業(上場企業なら5点満点で3以下)は避けようというぐらいです。

フレックスタイム制である

発達障害の人の中には、どうしても朝の行動に計画性がなくて遅刻...という方もいるでしょう。また、月に何度か病院にいかないといけない人もいるはずです。

ただ、多くの会社では勤務時間が決まっており、その時間に働かないと給料が減りさらに人事評価に響きます。ボーナスや昇給額が減るのです。

そんな人におすすめなのがフレックスタイム制の会社。この制度が適用されていると、コアタイムの時間さえ働いていれば、後は働く時間を何時からにしてもOK。1か月あたりで決まった時間働けば給料にも評価にも影響しないのです。

コアタイムとは、〇時から〇時までは必ず仕事をしてくださいね!!というルール。コアタイムなしの場合はフルフレックスとなります。

弊社は一部フレックスタイム制ですが、寝坊して定時に遅刻したのに給料が減らされなかったのはありがたかった…。

注意

最低限働くべき時間も決まっていない裁量労働制もありますが、これは定額働かせ放題になっているケースを多数見ているのでお勧めしません。まあ、コンサルや研究開発のような高給な業界は裁量労働制が多いのですが。

福利厚生が充実している

ここでいう福利厚生とは、給料以外に会社が負担してくれる各種サービスのこと。例えば、任意で入る生命保険の掛金を会社が負担してくれる、テーマパークのクーポンが貰える…などです。個人的には次の理由で給料以上に重視しています。理由は以下の2つです。

  • 非課税のものも多い
  • 能力・成果に関係なく貰える

特に、非課税の福利厚生は重視すべきです。これはつまり、年収は同じでも手取りが増えるということです。理由はこちらのグラフをご覧ください。

特に障害者の場合、所得制限対策は人生の重要テーマです。年収を増やさずに手取りを増やせる福利厚生は健常者以上に重要です。

個人的に重要な福利厚生は以下の3つです。

  • 住宅手当(社宅なら最強)
  • 社員食堂
  • 企業型DC
  • 健保が組合健保であること

住宅手当と社員食堂は、年収が低くなりがちな障害者にとってはインパクトが大きいので重視しています。

企業型DC

制度の詳細については自分で調べて欲しいのですが、一言で言えば「公的支援のある積立式年金」といったところでしょうか。一般に言われる現役世代向けの特徴は以下の3つです

  • 掛金全額が所得控除
  • 商品設計次第で社会保険料も下がる
  • 原則60歳まで引出不可
掛金全額所得控除

特に大きいのが掛金全額所得控除です。課税所得が減るので、所得制限対策になります。自立支援医療の上限額を下げれたり、お子さんがいるなら保育料も下がります。

制度設計次第で社会保険料も下がる

企業型DC最大のメリットです。会社によっては選択制企業型DCという制度になっている会社もあり、この制度の会社で企業型DCに掛金拠出すると、社会保険料(社保)が下がります。(((掛金拠出により標準報酬月額の等級が下がる場合のみ))

単純に社保が下がるだけでもオイシイのですが、高額療養費の自己負担上限額も下がる=入院時の医療費も下がります

引出制限は事実上存在しない

デメリットとして、原則60歳までの引出不可が挙げられます。しかし、精神障害者手帳2級以上になるなどの条件を満たせばいつでも引き出せます。

これを活用すれば、課金するほど減税されるのにいつでも引き出せる最強の貯金箱の出来上がりです。

既に精神障害者でクローズ就労している方なら、人生で一度くらいは精神障害者手帳2級以上を取るときもあるでしょう(私はその前提で人生設計しています)。

自己破産しても没収されないメリットもあるので、障害者こそ重視すべきな福利厚生です。

健康保険が組合健保である

日本の会社員なら加入する健康保険*2。実は、この健康保険は働く会社によって自己負担の保険料や給付額には大きな差があります。

ここでは主に中小企業の社員が加入する協会けんぽと大企業トヨタ(本社)の組合健保を比較しました。下表のようになります。

健康保険の企業間格差
  トヨタ自動車 協会けんぽ
保険料率(従業員負担) 3.00% 4.92%(東京都)
傷病手当金 最大3年 最大1年半
自己負担上限額(月) ¥20,000 上限なし*3

はい、圧倒的にトヨタの健保が勝ちです。

健保は普通の人にとってもありがたいですが、発達障害の人にとっては超大きなメリットです。その理由は3つあります。

民間保険は障害者だと入りにくい

1つ目の理由は、民間企業が行う医療保険は"発達障害である"だけで門前払いになるor保険料が増えるものが多いから。

発達障害当事者でFPの岩切氏曰く最近は必ずしもそうではないようですが、やはり「精神疾患は不可」を明記している保険もあります。私も落とされたことありますし。

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その点組合健保の場合、入る際の健康状態は不問。入社さえできてしまえば使えるので安心感が違います。

制度の中身が入社前にわかる

第2の理由は、制度の内容が入社前にわかるから。健保組合のサイトには保険料率や給付を社外向けにも公開していることも多いです。

私も転職先を決める際、組合健保の付加給付が充実していることは最後の決め手になりました。組合健保の給付が充実しているなら、民間保険に入らなくて良い*4のです。かなり節約につながります。

続いて、健保で会社を選ぶ際に重要な、傷病手当金についてここでは詳しく解説します。

傷病手当金について

健康保険の給付の1つに、体を壊した際にもらえる傷病手当金があります。基本的には"今までの給料の2/3を1年半”貰える制度です。

ただ会社によっては支給額が増加されたり、給付期間の延長もあります。先ほどのトヨタは最大3年のようです。ありがたや...

これを民間の医療保険で補おうとすると所得補償保険を使うことになりますが、精神疾患はNGな保険が多いです。傷病手当金は原則1回限りとはいえ、発達障害の人が併発しがちなうつ病でも使えます。

注意

失業手当とは原則として併給できないことに注意。

まとめー公的給付と福利厚生でハンデを乗りこえよ

発達障害の特性は、多くの場合一般雇用で不利に働きます。ただ、我々には手厚い公的給付と減税があります。

それに福利厚生をフル活用できる企業を選べば鬼に金棒です。給料以外の働きやすさに関する視点も併せて企業選びをしてみてはいかが?

*1:自営業であれば天引きされませんが、ここでは労働者を前提に書いています

*2:働いていない人が加入する国民健康保険等についてはここでは割愛

*3:高額療養費制度適用額まで自己負担

*4:そもそも入れないだろというツッコミは無しで