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【福利厚生しか勝たん】発達障害クローズでの企業の選び方

就活生のみなさん、こんにちは。

発達障害などを隠して働くクローズ就労を目指す就活生の皆さん、どんな条件を重視して勤務先を選びますか?賃金や勤務地など、いろいろあると思います。

ただ、ADHD当事者の私がクローズ就労して分かったのは、「健常者と同じ就活ではリスクが大きすぎる、年収よりも制度面の充実が大事」ということです。

そこで今回は、クローズ就労だからこそ重視したい就労環境について紹介していきます。 f:id:husbird:20220212193710p:plain

年収が重要ではない理由

働く理由=お金が欲しいから!という人がほとんどでしょう。私もそうです。

にも関わらず、年収よりも働き続けられるか?を重視するのは”控除と社会福祉”が関係しています。控除とは給料から勝手に引かれるもの*1所得税や住民税、健康保険料や社会保険料などのこと。この控除額は年収が上がるほど増え、控除比率も少しずつ上がります。

そして、発達障害がある人に大事な”給付”も忘れてはいけません。自立支援医療や公営団地の優先入居が有名ですが、これらには年収制限があります。*2この観点から、発達障害の特性を持つ人は2つの意味で”稼いでも可処分所得が増えない”ことは知っておくべきことです。

一方で、貯金などの資産には課税されません。年収は低くとも働き続け、それを貯金する生活の方がよほど幸福度が高いのではないでしょうか。という観点から、会社を選ぶ際に重視すべき制度を解説します。

注意

本当は”社風が大事!と言いたいですが、就職前に配属先の詳細や上司名はわからないもの。働きやすさは配属ガチャ次第なので、気にしてもほぼ無駄です。強いていうならオープンワークで評価の極端に悪い企業(上場企業なら5点満点で3以下)は避けようというぐらいですね。

フレックスタイム制である

発達障害の人の中には、どうしても朝の行動に計画性がなくて遅刻...という方もいるでしょう。また、月に何度か病院にいかないといけない人もいるはずです。

ただ、多くの会社では勤務時間が決まっており、その時間に働かないと給料が減りさらに人事評価に響きます。ボーナスや昇給額が減るのです。

そんな人におすすめなのがフレックスタイム制の会社。この制度が適用されている間は、コアタイムの時間さえ働いていれば、後は働く時間を何時からにしてもOK。1か月あたりで決まったの時間働けば給料も減らず評価に影響しないのです。

コアタイムとは、〇時から〇時までは必ず仕事をしてくださいね!!というルール。コアタイムなしの場合はフルフレックスとなります。

弊社は一部フレックスタイム制ですが、寝坊して定時に遅刻したのに給料が減らされなかったのはありがたかった…。

注意

最低限働くべき時間も決まっていない裁量労働制もありますが、これは定額働かせ放題になっているケースを多数見ているのでお勧めしません。まあ、コンサルや研究開発のような高給な業界は裁量労働制が多いのですが。

福利厚生が重要している

ここでいう福利厚生とは、給料以外に会社が負担してくれる各種サービスのこと。例えば、任意で入る生命保険の掛け金を会社が負担してくれる、テーマパークのクーポンが貰える…などです。個人的には給料の額以上に大事だと思います。理由は以下の2つです。

  • 給料よりも実質手取りが増える
  • 給与に関係なく平等に貰える
1つ目の理由はこちらのグラフをご覧ください。

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ある年の給料から、昇給と福利厚生(現物支給)が行われたときの額面と手取り額を示しました。課税される昇給はそのまま手取りが増えるわけではありませんが、福利厚生であればそのまま実質的な手取り額を増やせます。

2つ目は、福利厚生は制度の対象者であれば誰でも平等なサービスを受けられます。例えば住宅手当も基本的に同額です*3

個人的に重要な福利厚生は以下の3つです。

  • 住宅手当
  • 昼食支給
  • 健保が組合健保であること

ただし住宅手当と昼食については弊社は何もないので、ここでは健保を解説します

健康保険が組合健保である

日本の会社員なら加入する健康保険*4。この健康保険は働く会社によって自己負担の保険料や給付額には大きな差があります。

ここでは主に中小企業の社員が加入する協会けんぽと大企業トヨタ(本社)の組合健保を比較しました。下表のようになります。

健康保険の企業間格差
  トヨタ自動車 協会けんぽ
保険料率(従業員負担) 3.00% 4.92%(東京都)
傷病手当金 最大3年 最大1年半
自己負担上限額(月) ¥20,000 無制限*5
はい、圧倒的にトヨタの健保が勝ちです。

健保は普通の人にとってもありがたいですが、発達障害の人にとっては超大きなメリットです。その理由は3つあります。

1つ目の理由は、民間企業が行う医療保険は"発達障害である"だけで門前払いになるor保険料が増えるものが大部分だから。いざという時の安心感が違います。

第2の理由は、制度の内容が入社前にわかるから。企業の健保組合のサイトには保険料率や給付を誰でも見れるようになっています。

最後の理由は手取りが増えるからです。健康保険料は給料から天引きされるため、保険料が減ればその分手取りも増えます。弊社の場合協会けんぽの人に比べて1000円くらい手取りが多いですね*6

続いて、健保で会社を選ぶ際に重要な、傷病手当金についてここでは詳しく解説します。

傷病手当金について

このブログでも繰り返し書いていますが、体を壊した際にもらえる傷病手当金のことです。基本的には"今までの給料の2/3を1年半”貰えます。ただ会社によっては支給額が増加されたり、給付期間の延長もあります。先ほどのトヨタは最大3年のようです。ありがたや...

これを民間の医療保険で補おうとすると所得補償保険を使うことになりますが、これは精神疾患はNGな保険が多いです。傷病手当金は原則1回限りとはいえ、発達障害の人によくあるうつ病でも給付対象。

注意

福利厚生は昨今改悪傾向…。そして健康保険の自己負担も毎年のように増額しています…

まとめー公的給付と福利厚生でハンデを乗りこえよ

発達障害の特性は、多くの場合一般雇用で不利に働くようです。ただ、我々には手厚い公的給付と減税があります。

それに福利厚生をフル活用できる企業を選べば鬼に金棒です。給料以外の働きやすさに関する視点も併せて企業選びをしてみてはいかが?

*1:自営業であれば天引きされませんが、ここでは労働者を前提に書いています

*2:厳密には所得ですが、ここでは分かりやすさ優先で年収と書きます。

*3:障害者枠は実家通いしか認めないケースもありますが...

*4:働いていない人が加入する国民健康保険等についてはここでは割愛

*5:高額療養費制度適用額まで自己負担

*6:社会保険料控除の関係で、減った保険料の分そのまま手取りが増えるわけではありません