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【自立支援医療】福祉における所得制限対策のコツ

みなさんこんにちは。

何らかの福祉制度を受けようとする障害のあるみなさん、いちばん気にしないといけないモノをご存じですか?

それは所得。なぜならこの国の福祉制度が次のような特徴を持つからです。

  • 福祉の給付に資産要件がない*1
  • 制度ごとに所得制限の中身が違う
  • 財テクで所得を削れる

でも所得って何?という人も多いはず。そこで今回は福祉制度で一番大事な所得の仕組みと、福祉の制度を最大限活用する為の方法を解説します。

この記事はADHD/ASD当事者が書いているため精神障害を中心に書いていますが、それ以外の障害でも役立つ部分が多いはずです。

POINT特に自立支援医療の為の財テクはたくさんあります。

所得と税金の仕組み

そもそも所得ってなんぞや?所得税や住民税ってどう決まるの?と言う人も多いはず。ここではサラリーマンの収入(給料)を例に図で解説してみました。

住民税 所得税 決まり方

会社員の場合は支給された給料=収入から所得、課税所得を計算します。この課税所得に一定の税率をかけて税金が決まるという仕組みです。

まず税法上の所得は収入から給与所得控除を引いたものです*2。給与所得控除は給料の額面から一意に決まる為、頑張っても減らせません。

そこで考えたいのが所得控除。所得控除が多いほど課税所得が減り、納税額も減ります*3

しかも多くの福祉制度では、所得制限≒課税所得の制限です。

所得控除の例を挙げると…

  • 障害者控除
  • 社会保険料控除

があります。しかし福祉制度によって所得控除にも差があり、貰えるはずの福祉給付を貰えない…ということも。

そこで今回は、発達障害者に関係がある制度の"所得制限"と"所得控除"について詳しく解説します。

自立支援医療

本ブログでも何度か言及してきた精神医療の通院費を補填してくれる制度。

この制度における所得制限は、世帯における市民税の所得割額です。わかりにくいので図解しました。

自立支援医療費 自己負担 決まり方

こう計算すると自立支援医療における所得は税法上の所得のごく一部であることがわかります。そして市民税は課税所得に応じて決まるため所得控除が使えます。そこで自立支援医療における住民税の所得控除してくれる範囲を図解してみました。 自立支援医療 所得控除

障害者控除はもちろんiDeCo*4も使えます!!これはありがたい。

市営住宅

激安家賃で低所得者層の住宅確保を支援してくれる市営住宅。障害者手帳があれば単身入居できますが所得制限があります。市営住宅における所得制限は世帯の政令月収です。その決まり方は下図の通り*5

続いて政令月収を削る為の所得控除の例を図にしました。自立支援医療と異なりiDeCoなどの物的控除は使えません。ただし扶養控除対象外の同居者も控除*6してくれます。

精神障害者手帳2級以上なら多くの自治体で裁量階層扱いになり、政令月収の制限が214,000円*7まで緩和されます。

課税所得を減らす方法

福祉制度を最大限使うためにすべきこと、それは課税所得を削ることです。その為には各種の財テクが考えられますが、ムダになるものもあります。ここでは自立支援医療を例に、役に立ちうる方法を解説します。

注意

市営住宅はほぼ人的控除しかありません。財テクと言えば同居者を増やすくらいでしょうか。

  • 民間の生命保険加入*8
  • 社保の追納か前納*9
  • iDeCo加入
  • 株の利益を源泉徴収にする*10
  • 別居の親を扶養に入れる*11
逆に自立支援医療でムダなものは以下の通りです。
  • 住宅ローンを組む*12
  • ふるさと納税*13
  • ひとり親控除狙いのペーパー離婚*14

税金のことを考えるのは頭が痛いですが、障害があると税金を貰う側になります。そうすると、収入を増やすことと同じくらい税金対策は重要です。本記事も参考にしつつ必要に応じて税理士と話ながら考えてみてください。

*1:生活保護など一部を除く

*2:自営業なら経費

*3:納税額=課税所得×税率な為

*4:税法上は小規模企業共済等掛金控除と呼びます

*5:単身の入居を想定しています

*6:1人当たり38万円

*7:大阪市などはさらに緩和され259,000円

*8:生命保険料控除による、上限額アリ

*9:社会保険料控除による、上限額なし

*10:配当控除と損益通算が使えなくなります。

*11:「生計を一にする」条件を満たす必要性アリ

*12:住宅ローン控除は税額控除であり、自立支援医療の所得判定は税額控除前の課税所得を対象とする

*13:住宅ローン控除と同じ

*14:いわゆる偽装離婚にあたるため