【国の社会保障を使え】その保険、発達障害の人に本当に必要ですか?

こんにちは。

教育費・住宅費・老後の生活費・自動車維持費に並ぶ人生の5大支出である保険。

いわゆる「長生きしすぎるリスク」やがんにかかる人の増加、メンタルヘルスの問題による休退職...多くの生命保険会社はこれらに注目して商品を展開しています。商品を見てみると入院1日目から1万円の給付!など発達障害で働けなくなるかも...という不安がある人にとって魅力的な文章が並んでいます。

でも何も考えずに保険に入ると、「保険料高すぎ!!」とか「保険料払ってきたのにいざというときに保険金が下りない!!」ということになりがちです。

そうなってたまるか!ということで、発達障害だったからこそ保険について調べて気づいたことを書いていきます。

 

告知

民間の医療保険・生命保険に入ろう!と思うと必ず出てくる問題が告知です。保険会社としてもたくさん保険料を払えないので、リスクの高い人は保険から追い出せばよいという制度になっています。その審査のために使われるのが告知です。

強制的に入る公的な保険では給付にかかる費用が足りない!という場合国債を発酵したり増税したりすることで調整しています


民間企業がやっている保険の告知で気をつけたいことは次の通りです。

  • 保険加入時や更新時に、持病や障害といった今の健康状態について回答するもの。場合によっては健康診断の結果を提出することもある。
  • 告知の回答によって保険料が引き上げられたり、加入できないこともある
  • 嘘をついて入ると保険金がもらえないケースも
  • 似たような保障の保険でも、告知内容は違う

告知内容の中には精神疾患の有無に関する項目が書かれています。ほとんどの保険で明記されているのは統合失調症や双極性障害ですが、"等"というワードのおかげで発達障害でもこの欄に書かないといけないことも。その結果加入できなかったり保険料を引き上げられたりします。

私自身も入ろうと思った保険で、発達障害を原因に加入できなかったケースがあります...

 

引き受け基準緩和型保険

お昼時のテレビCMで「持病があっても入れる!」というフレーズで紹介されている保険がこれ。確かに持病があってもいくつかの緩い条件をクリアできれば入ることができます。

告知内容でよくあるのが、

  • 過去5年以内に、がん(上皮内新生物を除く)・肝疾患・精神疾患・腎疾患で 入院(人間ドックを除く)したこと、または手術(レーザー・内視鏡・カテーテルによるものを含む) を受けたことがありますか。

というもの。発達障害の確定診断があるだけでは告知には引っ掛かりませんし、コンサータなどの投薬を受けていてもOKなのが魅力です。

しかしこれらの保険の場合、保険金が通常の保険の倍程度かかる割には保険が手薄い...というのが実情。その保障で本当に意味あるのか?を考える必要があります。

国の保障を調べる

意外と忘れがちですがまずは国の保障を調べてみましょう。安くない社会保険料を払っているのですから、権利は行使しないと損です。発達障害を含む障害や精神疾患を持つ場合、医療費などの面で様々優遇されています。しかも手帳ナシでもらえるものも多いです。

 注意

民間の保険と異なり、自己負担額の引き上げなどの改悪リスクがあることに注意。あくまで2020年現在の保障についての解説です。

 

自立支援医療制度

発達障害やその他精神疾患に関わる医療費自己負担額が1割になる制度です。フツーは3割負担なのでこれだけでもすごいですが、さらに凄い特長があります。

  • 所得制限なし!高年収の人でも使えます!
  • 障害者手帳不要!医師の診断書のみで申請OK!
  • 年収に応じて自己負担上限額が決まっています!

私も手帳は持っていませんが、子供の頃は自立支援医療制度を使っていました。 もちろん通院だけではなく投薬にも使えます。

 

とても魅力的な制度ですが、公的医療保険が適用されない、「病院や診療所以外でのカウンセリングには使えない」ことに注意が必要です。

 

各自治体窓口に診断書などを持参することで申請できます。

 

高額療養費制度

高額な医療費に対して自己負担額の上限を設けてくれる制度。本来の自己負担額がある月に30万円くらいかかっても、

精神疾患のみなど制限のかかる自立支援医療制度と異なり、基本的には保険が効く標準治療であれば何でも対象になります*1

自己負担の上限額はこの表のとおり。なおこの表で言う医療費は自己負担額のことではなく、病院側が受け取る医療費、つまり10割負担だった時の額を指しています。

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一般雇用の収入が低めの企業や障害者雇用では個人の年収が300万円台というのは普通ですが、その場合ひと月あたりの自己負担が5.76万円。その年で自己負担の上限に到達するのが4か月以上になると、4か月目からは4.44万円まで減額されます。


メリットは大きいものの、自立支援医療制度と異なり患者自身がいったん建て替え払いする必要があり、お金が返ってくるのは受診から3か月以上要することに要注意*2。数か月はなんとか暮らせるレベルの貯金は必要ということですね。

申請は自分が所属している公的医療保険、例えば協会けんぽや国民健康保険になります。自社の健保組合があるような大企業の場合、会社の健保に「どこの病院に行ったか」という情報が行ってしまうのは大きなデメリットです。もちろん守秘義務はあるのですが。

健康保険独自の制度

ここまで国が行っている制度について書きましたが、ここでは健康保険組合(協会けんぽや企業独自の健保組合)が行っている制度について解説します。そのため無職やフリーランスは対象外です。

ちなみに、ここで書いているのは協会けんぽが扱っている最低限の給付です。大企業に多い企業独自の健保組合が扱っている傷病手当金は充実しており、例えばトヨタ健保は傷病手当金が3年間もらえます。

傷病手当金

失業保険とは異なり、業務外の病気や障害によって当面働けない人に向けた手当金です。失業保険は月給の6割ですが、傷病手当金は失業・休業後最大1年半にわたって7割をもらうことができます。また障害者手帳が必要ないのも大きなメリットです。

ただし健康保険組合独自の制度であるため、国の制度に比べて気になる制限があります。

  • 事前に1年以上の勤務が必要
  • 支給途中で復帰しても1年6か月経つと権利が消滅する
  • 同じ病気で使えるのは1度きり

一応制度上「完治」すれば同じ病気であっても複数回使えるのですが「完治」しているか否かの判断は各健康保険組合が行います。うつ病等であれば望み薄でしょう。

1年以上の勤務が必要なため、就職直後にメンタルを壊しても傷病手当金がもらえないことも大きなデメリットです。

ちなみに、これとは別に労災による給付も可能です。しかしメンタルヘルスを原因とした労災の場合、月100時間の残業が要求されるなどハードルはかなり高め。ハラスメントで簡単に労災を取れるわけではありませんし、そういう職場は多かれ少なかれサービス残業があったりして残業時間の管理も杜撰なケースが多いです。
 

まとめ

国の社会保障制度を見てみると、医療面でのサポートは結構充実しています。もちろん「働けなくなるかもしれない」リスクへの対応が十分だとは思いませんが...

これを機に、民間企業の保険が発達障害の自分自身にとって本当に必要か考えてみてはいかがでしょうか。

にしても、大企業の傷病手当金が羨ましいですね..。

*1:したがって美容整形や差額ベッド代,先進医療は対象外です

*2:限度額適用認定証を事前に医療保険からもらうことで、建て替えが不要になります