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【傾向あり】文系でもCBT統計検定準1級に最速合格する勉強法

こんにちは。

実はこの半年間統計検定準1級に向けた勉強をしていたのですが、4回目の挑戦にしてようやく合格できました。

特に文系の人にとっては数学のハードルが高く、それなりの難関試験になっています。そこで今回は2023年時点の状況も踏まえ、できるだけ効率的に合格する方法を解説します

参考-私のスペック

一般的な文系であり、数学2Bで大学受験を通りましたが数学は苦手科目でした。

  • 早慶クラスの心理系学部卒
  • 5年前に2級合格済み
  • 数3(行列など)未履修
  • 仕事で心理データを分析するが、数学的な理解は怪しい

データサイエンス専門職として採用されたわけではないので、高度な数学の知識よりPandas*1で前処理する作業*2の方が個人的には重要な状況でした。が、心理学系の論文にあるモデル式の意味がわからない&準1級があれば転職にも有利らしいと知って勉強を始めました。

準1級の合格を履歴書に書きたい!!*3けど数学はちょっと…な人にはお役に立てるはずです。

統計検定2級の対策は、以前こちらの記事で解説したのでぜひ参考にしてください。

www.psycheng.com

準1級の特徴と心構え

統計検定は、大学の教養科目レベルの知識を試す2級とそれ以上の知識を求める準1級、1級があります。準1級の特徴を知るためにも、まずは1級との比較表をご覧ください。

実は出題範囲そのものは1級/準1級でほぼ同じです。1級は得意な分野(人文・社会・理工・医療生物学から1つ)と問題を選べるため、全問必答の準1級に比べ実質的に実質的に勉強すべき範囲は狭くなっています。

これから統計検定準1級を受ける心理学の人は、範囲が絞られる1級の方が楽に合格できるかも。

さて、準1級の特徴は試験問題範囲の広さと試行回数の積みやすさです。そこで、基本的な攻略法は3つです。

  • 受かるまで高頻度で受験する
  • 数学の知識を身につける
  • 山を張る

受かるまで高頻度で受験する

本記事で1番言いたい内容です。

PBTの過去問とCBTでは傾向に変化があるため、積極的に試験を受けながら学習する方が早く・安く合格にたどり着けるでしょう。統計検定準1級の受験料はCBTに移行してから8000円/回と未だ値上げしていませんが、いつ値上げされてもおかしくありません。

またPBTでは年を追うごとに難化*4し、CBTはPBT最高難度だった2021年のセットとさほど変わらない問題難易度+大問数増加となっていることから、今後さらなる難度上昇も見込まれます。少しでも簡単なうちにさっさと合格するためにもとりあえず受験!!のスタイルがオススメ。

CBTの統計検定は規約上週1で受験できるので、隔週に1度くらいのペースで受け続けるのが良いでしょう。

数学の知識を身につける

準1級の大きな壁が、高校数学3以上の数学の知識です。高校数学2Bまでで合格できる2級と違い、準1級では指数大数の微積分や行列の知識が前提になります。

必要な知識は以下の3つ。

  • 合成関数と分数関数の微積分
  • 指数対数の微積分
  • 2行2列の行列計算

微積分については公式を暗記して計算するだけです。

問題は行列。高校で未履修*5のため、非常にとっつきにくいです。ただし、準1級なら行列を読めて2行2列 の計算ができればOK。なので頑張りましょう。

山を張る

事実上1級より出題範囲が広いとはいえ、頻出分野はある程度明確ですし、何より問題数は多いのに合格基準が60点と相当低い*6ので山を張るのはかなりオススメです。

その上で優先的に学習すべき分野は以下の通りです。統計学実践ワークブック(以下ワークブックと言います)の章番号と合わせて紹介しています。

27章時系列解析

PBT(紙での試験、2021年限りで廃止)ではほぼ毎年出題され、小問数も多かった分野。私もCBTで何度も見ました。

準1級ならば共分散定常過程であることを前提に議論が進むため、コクラン・オーカット法*7のような知識がなくても大丈夫です。

  • AR/MA過程と次数
  • 共分散や自己相関係数の算出
  • DW統計量による誤差項の評価

くらいでしょう。2021年CBTではスペクトラムが出題されていますが、他では使わない三角関数が出題されているため、私は捨て問としていました。

1章ベン図と条件付き独立

文系数学で学ぶ内容ですが、出題頻度は意外に高くPBTからの難易度上昇が著しいです。計算に時間がかかる問題なので、割り切って捨て問にするか本気で対策するかのどちらかでしょうね。

ただし、選択式の場合は「選択肢となる数値を代入し、問題と矛盾が生じない回答を正解とする」という奥の手でも解けることは知っておくべきです。

5~6章_典型的な確率分布

ある意味出題率100%()です。制限時間を考えれば各分布(特に二項分布・正規分布・ポアソン分布・指数分布)の

  • 確率密度関数
  • 期待値と分散
  • モーメント母関数
  • 再生性や無記憶性の有無

は暗記してないと解ききれません。私もこれらをきちんと暗記してようやく合格できました。

それ以外の項目は出たり出なかったりですが、最尤推定量に関する問題はマルコフ連鎖やベイズ法など別の項目と関連付けてPBT/CBTともに問われやすいですし、統計検定1級の問題を見ればわかるように、これができないとその大問丸々落とすことになりがちです。

なお、試験本番では思ったより制限時間が厳しい+山を張る以上粘っても時間の無駄なので、わからなくなったら次に進みましょう。

オススメ学習法

範囲が広いためまずはざっと全範囲を履修することが大事です。ただし統計検定2級合格者なら試験範囲の半分は履修済みなので、1ヶ月くらい先の試験にとりあえず申し込んでから集中的に勉強するのがオススメです。

学習の順番としては、基本的な数学→統計学実践ワークブック+多変量解析入門→過去問の順番がオススメ。最低限の数学を知らないと、ワークブックを読みきれません。

まずは基本の数学ですが、特別に本を買う必要はありません。微積分でわからなくなったら都度ググるくらいで良いでしょう。微積分するのは指数や対数ばかりなので、そのやり方はすぐに覚えるはずです。

統計学実践ワークブック

公式が出すテキストなので必須。たくさん書き込みをするでしょうから新品で買うべき本です*8

ですが、我々文系には数学が難しくてわかりにくいので、この本を詳しく解説してくれているWebサイト(なんと無料です!!)を参考に読み進めましょう。このサイトを参考に本を読めば、なんとなくわかる項目と頑張っても理解できそうにない項目に分けられるはず。まずはそのレベルでOKです。なんてったって、頻出範囲は決まっていますし、合格するまで週1で受け続けられるのですから。

多変量解析入門(永田ら)

PBT時代ほどは出なくなりましたが、準1級特有の分野である主成分分析をはじめとした多変量解析*9。このブログの主な読者であろう心理学関係者が使う主成分分析や因子分析の数学的背景を知意味でも大事です。

この本はベクトル/行列で書かれがちな多変量解析をスカラーで解説してている貴重な入門書です。準1級だと行列計算は簡単なものしか出ないでしょうから、理論を知っておくと効率的に学習できます。ただし、図書館で借りれば十分です。

過去問

CBTになり傾向が多少変わり難易度も上昇している気がしますが、過去問ほぼそのまんまな問題も出たのでやはり必須。ワークブックを一通り読んだら、制限時間は気にせずまずは解いてみましょう。ワークブックで見たような問題が出てきますが、数値が違ったりするので買って解いてみる価値はあります。

メルカリでもあまり安く売られていない為、楽天スーパーセールの時を狙って新品で買うと良いでしょう。

合格の目安は、初回で選択・記述式部分の8割以上といったところでしょうか。傾向を知る以上の価値はないと思います。

個人的に持っていて良かったのは1級の過去問です。わざわざ買う必要はありませんが、CBTになってから難易度が1級に近づいている気がするので統計検定1級の本で見た内容が準1級の問題を解くのに役立ちました。

1級の難易度は昔と今でさほど変わっていないように思うので、昔の過去問をメルカリで安く買っておくと良いでしょう。

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終わりに

2級に比べ一気に難易度が上がる分、合格の価値は大きいはず。私はワークブックを職場の昼休みに読んでいたのですが「文系なのに数学できるんやな」と言われたので、心理の人にとってこの資格は数学の学力を示す意味でも就職には効果的でしょう*10

心理系の皆さんも、数学力と就活戦線での戦闘力向上目指して統計検定準1級を目指してみてはいかがでしょうか。

*1:Pythonのデータフレーム用のライブラリです

*2:欠損値は常にNCARを前提に除外している

*3:今すぐ転職したい訳ではないです

*4:2021年のセットとかレベル高すぎる…固有値や最小二乗推定量を手計算させるとか文系には厳しい…

*5:文系・あるいは2015~2024年の高校入学者

*6:英検や数検の準1級は7割

*7:PBT時代に出題歴はあるのですが

*8:私は新品で買ったのですが、合格した今ではボロボロになりました

*9:1級では統計応用に出題されるので、心理学の人が受ける人文科学だと時系列とかクラスタリングってあまり出ないんですよね

*10:新卒時に2級を取ってたのですが、それでも面接官から興味持たれ増た