Web
Analytics

【廃線?】障害者だから読むべき「地域公共交通計画」

こんにちは

このブログでは発達障害の人のライフハックとして移住を挙げてきました。

それは、政令市のような都市部では「家賃は安くしかも公共交通が充実」な地域が多数あるからです。

しかし最近の人口減少の中、政令市や県庁所在地のレベルでも減便や鉄道の廃止が真剣に議論されるようになっています。

そこで今回は、将来残る・消える路線が予測できる地域公共交通政策について解説します。

POINT
  • 自治体は「残す公共交通」の選別に迫られています。
  • 「地域公共交通計画」で「残る公共交通」がわかります。

発達障害者に公共交通が重要なワケ

簡単に言えば、発達障害者にとってクルマは割高であり公共交通は割安だからです。詳細には触れませんが、身体障害/知的障害者にはクルマ所有に関する以下の優遇策があります。*1

  • ETCの障害者割引
  • 福祉車両の非課税措置化
  • 自動車税の減免
  • 駐車禁止措置の適用除外

発達を含む精神障害だとこれらの優遇がない、もしくは1級しかもらえないとかなり不遇です。

また、コンサータを始めとする一部の向精神薬が運転禁止薬になっていることも痛いですね。現実の判例はそれほど不利な対応ではありませんが、理論上の可能性がこの記事のようにあることも、運転を避ける大きな理由です。

一方で公共交通では精神・発達障害者にも割引してくれる企業が増えました。西鉄や近鉄でも精神障害者割引を導入していることから、多くの精神・発達障害者にとって公共交通はますます重要になるはずです。

都市でも公共交通が消える?

障害者にとって大事な公共交通ですが、昨今は減便・運賃値上げ・第3セクター化などの改悪が目立ちます。理由は色々ですが、いずれにせよ痛い…。

さらにここ数年で「残す路線」「潰す路線」の切り分けが少しずつ行われています。統一地方選も近い今、あなたの使うバス・鉄道は守られるのか?気になりますよね…

今回はその判断・予測に役立つ、「地域公共交通計画」について詳しく解説します。

第3セクター化に伴い精神障害者割引が導入*2されるケースも多く、ある意味で改善です。

地域公共交通計画の背景

日本の地域公共交通は、「原則として行政は関与しない・補助金は出さない」(独立採算制)という建前で運営されてきました。*3

これは市営地下鉄や市営バスであっても同じであり、原則として自治体による赤字補填はしていません。

その中で鉄道・バス会社は大都市の交通や不動産で帳消しにする「内部補填」でローカル線を維持してきました。しかし人口減少や運転士不足などにより内部補填も限界に達しています。「赤字路線は廃止させてくれ!!」というのが企業の本音です。

そこで、自治体主体で公共交通を再定義し「税金を出してでも維持したい路線を選ぶ」という考えが生まれました。

「地域公共交通計画」は国交省肝入りで設定されたその集大成ともいえます。

地域公共交通計画の概要

地域公共交通計画とは、各自治体での公共交通の課題と今後数年の公共交通政策の目標をまとめたものです。

自治体ごとに差はありますが、概ね以下のことが書かれています

  • 鉄道・バスのどちらに重点を置くのか
  • 競合する公共交通の統合
  • 重点的に鉄道・バスを走らせるエリア

などです。つまり、「お金は限られている中、市内のどこを犠牲にして全体の公共交通を守るのか」がこれを読めばわかります。

実際に仙台市が出している地域公共交通計画を見てみましょう。

www.city.sendai.jp

詳細はリンク先に譲りますが、主にバス路線について図の通り重要度毎に明確に色分けしています。

重要度の高い「みんなで支える〇〇」はバス1時間1本以上の確保が明記される一方、重要度の低い「みんなで育む〇〇」は路線バスと地域交通の役割分担(デマンド運行化)を協議となっています。

本数を保障するものではないと明記されていますが、かなり踏み込んだ記載です。昨年仙台市に行った際、概ねこの通りに運行されていると感じました。

その他の地域でも方針は似ています。まとめると以下のような方針です。

  • 新幹線・特急停車駅を中心駅とする
  • 鉄道・地下鉄等を公共交通の骨格とする
  • 市内中心部を回遊するバスを走らせる
  • 需要の大きな地域は中心駅までの直通バスを走らせる
  • 不採算路線は乗り継ぎを改善しつつ廃線とする

図にするとこちらのようになります。中心駅へのアクセスをなるべく低コスト維持したいという思惑が見えます。

重要なのは、現在の運行本数が多くても自治体が廃線・減便を選ぶ路線もあることです。私の街では、路線バス間で競合のあったエリアで統合があり、本数が半減しました

我々がすべき対策

最後に私たちがすべき対策を書いて終わりにします。大きく2つです。

引越し前なら地域公共交通計画を確認する

自分が住む地域は鉄道やバス残るか?かなり高い精度で予測できます。一見不便なのに家賃相場が高いエリアは、地域公共交通計画で鉄道・バスの維持増便が明記されていることも珍しくはありません。

パブコメ・選挙で意思表示

既に引っ越しているなら、自治体の地域公共交通計画を適宜確認しましょう。数年に1回改定がありますが、この際に住民説明会やパブコメ(パブリックコメント)の募集がなされます。

ここで当初や意思表明をすると意外に反映されるものなので、機会があれば参加をお勧めします。あとは、1番重要なのが選挙で投票すること。地方選はどうしても投票する意義が見えにくいですが、意外と公共交通を公約にする候補者もいるものです。

*1:等級により適用対象外あり

*2:例えば肥薩おれんじ鉄道、えちごトキめき鉄道

*3:現実には、新規路線開業における許認可、一定の条件を満たしたバス路線に対する地域間幹線系統補助などの例外はあります