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企業で心理学の知見を活かして働く!を実現するための企業選びのコツ

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こんにちは。

私は心理学部を卒業後、民間企業で心理学を活かした研究開発をするお仕事についています。

心理学専攻の人が企業の研究開発に採用されるケースは少しずつ増えていますが、その実態はまだまだ見えないもの。

そこで今回は心理学専攻で心理学を活かして企業に入りたい!という人に向けて、実際に働いている人の目線で、企業選びの際に見ておけば良かったことを5つ紹介します。

 

心理学以外にその会社に魅力はあるか?

ほとんどの会社は「研究開発に心理学出身の人がいる」ことに慣れていません。そのため、心理学出身者を採ったはいいけれど、それに合った仕事がない…というケースも。また、心理学を活かした研究開発ができる部署が突然潰れることもしばしばです。


私自身もそのことは日々仕事をしていて感じます。

だからこそ確認したいのが、「心理学以外にその会社にメリットがあるか?」です。収入や有休消化率、定年退職まで働けそうか...なんでもいいです。就職するということは、会社と一緒にビジネスをするわけですから、きちんとあなたにメリットがあるかは確認してください。一時の情熱だけで選ぶと後で困ったことになります。

会社の社員が、心理学の研究成果を公表しているか?

特に博士号が欲しい人、大学や国研で研究がしたいという人には大事。企業の場合は研究開発の成果を特許で囲い込んだりブラックボックス化することが多いです。そんな中でも積極的に成果を公開している企業であれば、その会社が研究に寛容と考えられます。

会社名と関係のありそうなテーマをGoogle Scholarで検索してみたり、会社の技報を確認するといいでしょう。その会社でどれくらい研究をしているかがある程度予想できます。

技報については、この記事で詳しく解説しています。ぜひ読んでみてください。

大学との共同研究をしているか?

3つの意味で重要です。研究成果を公表しやすい、心理系人材が既に会社にいる可能性が高い、研究が突如打ち切りになるリスクが低いの3つのメリットがあります。

心理系人材が既に会社にいる可能性が高い

多くの企業にとって、共同研究先の学生は重点的に採用したい人材です。自社の利益に早期に貢献できそうなので当然ですね。私の知っている範囲で修士/学部卒で心理学を活かして研究開発職に採用された方は、ほぼ全員が大学時代に共同研究していた企業への就職でした。

そういう企業は心理系人材への理解が進んでいるため採用されやすいですし、就職後に心理学関連の仕事をできる可能性もかなり高いでしょう。

研究が突如打ち切りになるリスクが低い

民間企業において研究されやすい感性科学やマーケティング領域の研究成果は、法律で必達とされているモノではありません。その研究がないならないなりに企業が回るため、業績悪化により打ち切りされやすい領域です。

しかし、大学教員との共同研究を急にストップすると学生の採用にも影響がありますし、契約解除の問題が生じます。そのため、一回スタートすれば一定年数は共同研究が続く可能性が高いです。

 注意

共同研究であっても、企業側・大学側双方の事情で急遽終了になるケースはあります。あくまで、契約上途中で中止になるリスクが小さいだけです。

自己研鑽・資格維持のための経費はどこまで会社が持つか?

研究開発志望の人より、社内で雇用される心理職志望の方には重要なポイント。

臨床心理士は更新が必要な資格であり、そのためには学会参加や講習受講などでポイントを積み重ねる必要があります。非正規と異なり正社員の場合、ある程度の人材育成費用は会社が持ってくれますが、講習受講は業務扱いかは確認しましょう。これの有無で年間を通してみると手取り額で数万円の差がでます。

 

研究で必要な実験参加者/質問紙の回答者は外部から集めているか?

心理学の研究では、人からデータを取ることがあります。


このデータの取得方法ですが、社員から集めるよりも外部の企業に委託して集めるほうが、心理学の研究としては望ましいでしょう。

個人の見解ですが、特に臨床系では重要だと思います。社員を回答者にしてデータを集めると、どうしても社内の力関係の影響を受けたり、匿名と書いているのにそれを回答者が信用せずにデータが歪むことがあるからです。

 注意

企業秘密の観点から全ての実験/質問紙を社外の人材からデータを収集するのは難しいでしょう。あくまでも目安です。

終わりに

今回は、企業選びの際に知っておくべきポイントを5つ紹介しました。これらの情報はネットで調べられるものもありますが、研修の費用をどこまで会社が持ってくれるか?は聞いてみないとわかりません。面接では聞きにくいものですが、OB訪問で少しでも聞き出せるといいですね。