こんにちは。
大学で心理学を学ぶ学生は多くいますが、その専門性を活かして就職している人は、まだまだ少ないのが実情です。
そして心理学部生や心理学部を目指す人の中には「カウンセラー以外に心理学を活かせる仕事ってあるの?」 と思っている人も多いのではないでしょうか。
安心してください。心理学の専門性を評価されて採用され、仕事を続けることはカウンセラーや公務員以外の仕事でも可能です。その中でも今回は、心理学を活かして働ける就職先の中でもあまり知られていない民間企業の就職先に焦点を当てて話していきたいと思います。
その前に心理学と企業就職全般の話が聞きたい!という方はこちらの記事をどうぞ。
メーカー
研究開発職を多く採用することもあって、企業の&Dで働く心理系出身者の多くがおそらくメーカーなのではないでしょうか。
その中でも、学会誌などでよく見るのは食品や化粧品メーカー、そして機械や電機メーカーです。学会誌や公式サイトで見られる情報でも、業界によって研究テーマや採用される層に差があるため、まずはポイントだけ表にまとめてみました。
食品・化粧品メーカー
私が就活をしていた数年前の段階では、企業により心理系人材を採る採らないがはっきりしていました。そのため、自分の大学・研究室からこういった業界に進んでいる先輩がいるならかなりおススメできます。意外にも心理学専攻を研究開発職として採用している企業が結構多いです。
研究テーマは食品メーカーであれば香りに関する研究や味覚に関する研究、化粧品メーカーであれば顔認知に関する研究をよく見ます。化粧品メーカーにおける研究の例はこちらの記事で解説したのでぜひ読んでみてください。
採用される層は博士での採用がメイン。資生堂、花王、味の素に採用されている人を見たことがあります。また新卒ではありませんが、助教→JTというパターンも。
配属先が確約される職種別採用が多いため、研究テーマとの相性は重視されそう。実際に就職した方によれば「生理測定の経験があるといい」のだとか。
新卒相当の採用でも公募ではなく研究室のつながりによる採用がメイン。本気で採用を狙うなら学会でコネを作ったり、研究室選びの段階からの対策が必要だと思います。
研究室選びのお話はこちらをどうぞ。
機械・電機
私が採用された業界。農機具・重工・家電…といったハードウェアの開発を行っています。
ただし、最近はハードウェアとソフトの融合がトレンドです、こういった業界に就職してもソフトウェアの開発が業務になることもあります。
研究開発では主にヒューマンファクターやUIといった領域ですが、生理計測から質問紙まで割と何でもやっているように見えます。業務では生理測定や行動実験も行いますが、
本ブログでは一例として、トヨタの研究所である豊田中央研究所での眼球運動に関する研究を紹介しています。
機械・電機のメーカーは採用数が多いこともあり、修士以下の学生にも採用されるチャンスが多くあります。
初期配属が入社後に決まる会社が多いからか研究テーマが会社でやっている業務の相性はあまり問われませんでした。そのため、とりあえず実験系の心理学をやっていて企業に行きたいのであれば銃乱射的に応募するのもアリだと思います。私自身それで弊社以外に面接に呼ばれた企業さんもあるので...
そのほかの企業
研究開発職、ないし研究職はメーカーが中心です。しかしそれ以外の企業でも心理学出身者を採用しています。例えば次のような企業が挙げられます。
- 政府系・あるいは旧公営企業の研究所
- ベンチャー企業
本来真逆の企業達なのですが、実際こうなっています。
政府系の研究所では、産業技術総合研究所(産総研)で隔年に若干名のペースで人間工学の研究職を採用しています*1。
鉄道に関する種々の研究を行っている鉄道総研もその1つです。もともとは国鉄の研究所ですが、心理学の領域では運転時の疲労軽減、運転時のヒューマンエラー抑制に関する研究を行っています。
そのほかNTT研究所も心理学出身者を採用対象にしています。
ベンチャー企業の中では次の2社が挙げられるでしょう。まずは心理学を活かした研究とそのコンサルティングを行うイデアラボ社です。2019年度の日本心理学会でされていたお仕事紹介も、リモートOKだったりで魅力を感じました。*2
他には発達障害に関するポータルサイトを作ったり、障害者向け就労移行支援を行うLITALICOがあります。LITALICOでは専門/研究職という職種別採用で発達障害児への合理的配慮の研究など臨床寄りの研究ができるチャンスがあります。民間企業で研究フィールドを仕事で確保できるのは貴重だと思います。
まとめ
心理学を活かした研究開発職も、調べてみるとメーカーを中心にそれなりの数あります。
学会誌を読んだり、実際に学会に参加してみると「こんな企業もあったのか」という新しい発見ができるはずです。
この記事では学会参加を就活にどう生かせばいいの?という疑問に答えていますが、このサイトの記事も参考にしつつ、企業選びをしていってくださいね。