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【お金と安定が正義】就職を意識した場合の研究室選びのコツ

みなさんこんにちは。

これから研究室選びをしたいけど、どうしてもこれがやりたい!!というピンポイントにあう研究室がない人も多いはず。

であれば、就活を考えて研究室を選ぶのがオススメ。今回は、民間企業で心理系の研究員をしている私の経験も踏まえ、就活を意識した研究室選びの仕方を紹介。1つの参考として考えてもらえれば幸いです。

注意
あくまで民間企業の研究職を狙う場合の選び方です。新卒アカポスに拘る場合は学振の取得実績とかを見た方がいいでしょう。

企業との共同研究が多い研究室

最近増えてきた大学と企業の共同研究。研究室を選ぶ学生目線では以下のメリットがあります。

  • 圧倒的に就職しやすい
  • 研究資金がある
  • 勝ち筋が見えている

1つ1つ見ていきましょう。

共同研究の形態は多様ですが、本記事では「企業と大学が関わって研究する」という広い意味での共同研究を想定します。

圧倒的に就職しやすい

学生が就職先を自主開拓するケースが多い情報系を除けば、理系学生にとってはやはり学校推薦での就職は重要な選択肢。心理学専攻(しかも学部卒)の私のような、自主開拓できるほど企業の選択肢がない分野であれば尚更です。*1

学校推薦には学部学科に推薦枠が与えられる場合と研究室に枠が与えられるもの(研究室推薦)の2つがあります。基本的には研究室推薦の方が内定は取りやすいことが多く、研究室の専門が生かせるように配属が優遇されたりといったメリットもあります。*2

私が体験した学校推薦の話はこちらの記事から見ていただけます。

www.psycheng.com

研究室推薦が共同研究などコネクションがあるところに枠が作られやすいことを考えると、共同研究が多い研究室は魅力的です。

研究資金がある

共同研究の契約方式にもよりますが、ある程度の研究資金が企業から研究室に支給されます。昨今の大学はどうしてもお金がないので、企業からの研究費があればハイスペックなPCを買えたり単純な作業は業務委託でどこかにアウトソーシングしたりと色々な効率化が可能です。

特に試行数こそ正義!!な分野は研究資金の多寡は重要です。

勝ち筋が見えている

前項の「研究資金がある」とも関係しますが大事な部分です。高額な研究資金を出し場合によっては社員を大学に出向させる以上、「何の成果もありませんでした!!」では責任問題になりかねません。

そのため企業内での審査や管理も厳格に行われ、ビジネス転用という意味で研究の勝ち筋が見えていることが多いです。学生の就活に間に合うかは別として、ある程度勝ち筋が見えている研究テーマというのは学生としても安心してテーマに取り組めます。

「結果が見えている研究なんて何が面白いのか!」という声もありますが、学生の研究・人材育成の観点から考えると最初に頑張った研究で大失敗!は好ましくないと思うので、勝ち筋が見えているのは大事です。
注意
ビジネス転用を見据えた結果、好きなタイミングで学会発表や論文投稿できない可能性があります。*3

ハラスメントに巻き込まれにくい

大学と企業の共同研究は、大学と企業が相互に選び合って成立しています。企業が共同研究先を選ぶ時、もちろん先生方の研究テーマやビジネス採算性は必須ですが、最終的には「この先生と一緒に仕事をしたいのか?」が大事。*4

企業はハラスメントに非常にセンシティブになっていますから、共同研究先の教員からのハラスメントで社員が潰れた!となったら溜まったものではありません。*5こういった観点から、共同研究実績が多いことは、ハラスメントリスクの低さを測る1指標にはなると思います。

辞めなそうな先生を選ぶ

大学での研究は非常に属人的です。最悪の場合は先生が辞めると研究が止まります。特に研究テーマがより専門的になる院生を別の先生が指導するのは難しく、先生の退職は大きなリスクです。

そこで「辞めにくい先生」を選ぶべきですが、

  • 現時点で50歳前後
  • 母校/もしくは最近転職してきた

これを満たす先生は「辞めにくい先生」と考えてひとまずは良いでしょう。

現時点で50歳前後

まずは年齢です。若手の先生ほど転職したがる傾向にあり*6、民間企業/アカポスともに受け入れ先も多くあります。逆に先生の年齢が高すぎると、学生がいるのに定年退職しうるからです。

定年1~2年前になると新規の学生を受け入れないので実際には起こりにくいです。ただし、学部3年で研究室に入って修士・博士に進学したけど博士2年の時に先生が定年退職!!はありえます。

こういったバランスを考えると、学部3年で研究室に入る際に先生の年齢が50~55歳程度というのが、進学時に博士号取得まで面倒を見て頂くことを考えると最適でしょう。

母校/もしくは最近転職してきた

昔ほどではありませんが、やはり先生方は母校の教授になりたいようで一旦任期の定めのないポストになるとあまりそこからは移動しない傾向にあります。*7

続いて、最近(直近1~2年)転職してきた先生です。短期離職すると次の転職が難しいのは民間企業も同じですが、大学教員の採用では推薦書、しかも現所属の上司や学部長の推薦書を応募書類にする求人も多いです。*8

よく知らない人の推薦書は書きにくい以上最近転職してきた先生は転職しにくい=当面は辞めにくいと思います。*9

注意
学生の目線からすると「その先生の(学生からの)評判を知りにくい」という問題はあります。

(企業目線で)流行っている研究テーマ

学生が研究室を選ぶときと、実際に就活するときとで流行りは変わりうるのであまり重要ではありません。そもそも、修士以下で研究職として就活する場合そこまで研究テーマはガチガチに問われない(ちなみに心理学系は実験系/臨床系どちらかより詳細には問われません)ですし。

ただし博士採用は若干異なり、研究テーマごとの採用=テーマの研究業績やスキルをガチガチに要求することもあります。*10

こういった状況を考えると、「研究室を選ぶ時点でそのテーマが企業で流行っているか」はほぼ考慮不問だと思います。

まとめ

やりたいことがピンポイントで決まっているならテーマにあった研究室を選ぶべきですが、学部生だとどうしてもやりたいことがふわっとしがちです。私もそうでした。

それでも、「就職してもこの分野の研究を仕事として続けたい」のであれば、打算的に研究室を選んで良いと思います。この記事が迷える学生さんの参考になれば幸いです。

*1:特に学部/修士で自分を1本釣りしてくれる企業が出てくるほどの実績を作るのは難しいですし…

*2:就職のタイミングで専門を大きく変えたい場合、これはデメリットになり得ます。

*3:企業の場合特に特許化したがるのですが、特許取得要件の都合上先に論文を出されると色々困るんですよね…

*4:共同研究先の選定は、現場社員が提案し高級管理職(場合によっては役員クラス)が最終決定するので、現場社員に嫌われる先生はそもそも共同研究先として提案されないわけです

*5:大学教員のハラスメントで社員が潰れ、「安全配慮義務違反」で企業側も訴えられるリスクがあるので…

*6:そもそも「任期付き」で強制退職せざるを得ない先生も多い

*7:先程はあえて書きませんでしたが、先生方も50代になると任期の定めがない先生が多いという事情があります

*8:推薦書は不要でも、働きぶりを照会できる人の連絡先を応募書類に記載するように求める求人は多く、JREC-INを調べればわかります。

*9:任期切れで強制退職となるケースは除きます

*10:特に製薬系はこの傾向が強い気がする…