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【高校生向け】AO・推薦入試で心理学部を受験する人に知っておいてほしいこと

こんにちは。

このブログは主に「心理学を齧っている学部生(特に1年生から3年生相当)」の方向けに書いています。

ただ今回はそろそろ高校生の夏休みも終わり,推薦・AO入試の出願の時期が近づいてきた!ということで,心理学部を受けようかな...と思っている高校生の方に向けて,

「出願前にこれだけは知っておいて頂きたい」ということを現役心理学専攻の学部4年生である私の目線で書かせていただきます。

私が心理系学部に入ったのは一般入試です。ただ高校生だったころにAO入試の最終選考にまで進んだことがあるのである程度は参考になると思います。

 

[:contents] 

ここから先は,AO・推薦入試で聞かれそうな,心理学部に入って本当に授業についていけるのか?そもそも大学で学ぶ分野として心理学を選ぶのは本当に自分のためになるのか?を自分なりに考えるためのものです。

それに加えて,AO・推薦入試で合格後にやっておいた方が良いことを現役の目線で解説しています。

臨床心理士/公認心理師になりたい!でいいのか?


そもそも公認心理師は学部+大学院の6年間勉強しないと,受験資格を得ることができません*1

下の記事にも書いていますが,私個人としては「6年間時間を拘束されるにも関わらず,臨床心理職/公認心理師ではそれに見合うだけの仕事はない」と考えています。


残念ながらそれほど待遇が悲惨なのが現状。twitterや心理職として働く方々の話を聞くと直視に堪えない環境で働かれている様子がわかってしまいます。

 

 
間違っても「国家資格があれば食えるでしょ!」と思っているのであれば,心理学部受験は辞めたほうがいいでしょう。安定を求めるならば薬剤師や歯科技工士さんなどもっとリターンのいい仕事はたくさんあります。



心理学部に来る人の半分くらいが,臨床心理士/公認心理師志望*2ということもあり,この「心理職って本当に食える仕事なの?」という点はとても重要です。

実際に私の後輩で某大学の臨床心理学研究室志望で心理学部の入試を受けた人が,「こういう厳しい現状だけど,本当にいいの?」と何度も聞かれたらしいです。

その心理学部は本当に「公認心理師」の資格が取れますか?

こちらの記事にも書いていますが,「公認心理師」になってから臨床心理士以上に学部・大学院でのカリキュラムが厳格になりました。

その影響で「心理学を学べる学部に来たはずなのに,公認心理師が取れないぞ」ということになることもちらほら。

 

例えば早稲田大学で心理学が学べる学部は,文学部・教育学部・人間科学部の3つあります。しかし学部の授業だけで公認心理師の資格が取得できるのは人間科学部のみです。文学部・教育学部は他学部履修を活用する必要があります。


そして,医学部などと異なり,現実的に公認心理師になれるかは研究室次第という側面があることにも注意が必要です。

心理学に「正しいイメージ」を持っていますか?

高校生の方であれば,「心理学といえばカウンセリング」というイメージが多いと思います。

近年では多くの高校にスクールカウンセラー導入されたりしたこともあり,それは一つの事実です。

ただ大学で勉強する心理学には多くの分野があります。

  • 人の頭の中の情報処理を考える認知心理学
  • 人が集団になったときにどんな振る舞いをするか?を考える社会心理学
  • 人が考えていることを正しく図るための心理統計学

などなどほかにもいろいろです。


にもかかわらず,大学にいる臨床心理学の先生は,心理学部全体のうち,平均して3割くらいだと思われます。*3

といった理由から面接官の先生には「臨床心理学に批判的な人」も当然いる!という前提でふるまったほうが面接では失敗しないでしょう。個人的に思うところはいろいろありますが,受験を突破するという観点からこの考え方は重要だと思います。*4

そして,個人的には心理学にはいろいろな分野があることを理解したうえで来て頂きたいです...

英語/数学1Aの統計はちゃんとできますか?

数学

AO入試では直接問われませんし,数学の成績が出願条件になっていることはほとんどないのが実情。

一般入試でも2次試験にも数学を課す国公立大学に対し,私大では数学が必須ではないケースが多々あります。こういう事情もあり,大学新入生の数学力には同じ大学でも小さくない差があるのが実情です。

大学としてもこの学力差を痛感しているからか,高校1年生レベルの数学の授業がある大学もあります。ただ,少なくとも有力大学であれば,大学入学後に高校数学1A相当の復習は行わないとはずです。*5

特にAO・推薦入試で心理学部を受ける人は,合格後にいったん数学1A・2Bを全て復習する!くらいをしておくと入学後楽です。

英語

数学と異なり、AO・推薦入試で問われることも多いはず。もちろん入学後のことを考えてもこれらのスキルがちゃんとあるか?はとても重要だと思います。

ほかの人文系の学科(たとえば日本文学とか)に比べて英語を使う機会は多いと思います。*6

いつ使うの?と思う人も多いでしょうが,ゼミや研究室の授業で英語の論文を読むことが多いですし,卒業論文を書く時には自分で英語の論文を読む必要があります。

文化によって差が出やすい臨床や社会などは知りませんが*7,一応新しい法則を検討することになっているはずの認知心理学などの分野では英語論文を読まされることがほとんどです。

例えば私の大学では英語論文を読むためのだけの授業が開設されており,英語論文を読む力は多くの大学で非常に重視されています。

大学によっては,AO・推薦入試の小論文の題材が英文というケースも。私の知っている人のケースだと,面接の一部に英語が導入された...人もいるそうです。



入試では英語ができなくてもなんとかなる人もいますが,入学後には頑張るぞ!という気持ちで来てくださると嬉しいです。4技能すべてを完璧に!とはいいませんが,少なくとも長文読解はできる状態だといいですね

こういった英語や数学の知識をどうやって身につければいいんだ...という方は下の記事をご覧ください。この本を読めば何とかなるはずです!

まとめ

AO・推薦入試の場合,学力はもちろんですが意欲も見られます。まずは現実を知ったうえで入学後にはちゃんと英語や数学も頑張るぞ!と準備をしていただければ個人的に歯とても嬉しいです。


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欲しいモノリスト私の欲しいものリスト

*1:例外として少年院などの刑事施設での2年以上の勤務によってBルートによる受験資格を得ることは可能

*2:私が見たり聞いたりした範囲

*3:臨床心理学科みたいなところは極端に臨床心理学を専門にされている先生の割合が高いですが

*4:この傾向は「心理学部」ではなく「○○学部心理学科」のように大きな学部の中に心理学があるとより強まる気がします

*5:私の大学ではいきなり数3の微積分スタートでした

*6:あくまで主観ですが

*7:気になる方はサピア・ウォーフ仮説を調べてみてください