こんにちは。
私は心理系の学部を卒業後、機械メーカーで心理学に関連する研究開発の業務をしています。
その中で、学部生時代に公務員心理職の試験でも受けて、広く浅く心理学を学んでおけばよかった、と思うことがよくあります。知識がないから調べるのに時間がかかるのです。そこで今回は、学部生のうちに公務員試験を受けるべき理由を解説します。
心理学を体系的に学べる貴重な機会
これは、特に基礎系の人には重要です。臨床心理であれば、公認心理師試験によって心理学の全体像を一通り試験勉強することになります。
基礎心理学専攻にも、院試という形で心理学の知識を試すものはあります。しかし、その内容は大学院ごとにバラバラです。どちらかと言えば研究分野に関連が深い領域だけを深くやる、というケースが多いのではないでしょうか。*1
そういったこともあり、基礎系の学生にとって、心理学の概論を唯一(客観的かつ強制的に)学習できる貴重な機会です。私は前職では心理学の研究開発を民間企業でやっていましたが、それでも、基礎的な知識の欠落で色々困りました。
公務員心理職の過去問(特に国家総合職人間科学区分)を見た人であればわかると思いますが、心理学(実際には社会・教育学含めた人間科学ですが)のほぼ全範囲を扱っています。
たとえば、国家総合職の人間科学区分だと以下のようになっています。
- Ⅰ部(5題)
- 人間科学に関する基礎
- 人間科学における調査・分析に関する基礎
- 人間科学における行政的問題
- 人間科学に関する基礎
- Ⅱ部(15題) A・B から選択
- 選択A(心理系)
- 人間の資質及び行動並びに人間関係の理解に関する心理学的基礎(心理学史、生理、知覚、学習等) ⑪
- 心理学における研究方法に関する基礎 ④
- 選択A(心理系)
- Ⅲ部(20題)
- 14科目(各5題)から4科目を選択(心理学なら下記4科目)
- 認知心理学
- 臨床心理学
- 教育心理学
- 社会心理学
- 14科目(各5題)から4科目を選択(心理学なら下記4科目)
単に統一試験が存在するだけでなく、その対策参考書もきちんと存在することから、体系的な学びには最適と言えるのではないでしょうか。
心理学で公務員より高待遇な仕事はほぼない
身も蓋もないですが、現実でありかつ重要。
私は民間企業の研究開発部門で、心理学にちょっとだけ首を突っ込んだ仕事をしながら公務員以上の待遇を頂けています。
ただしそれが実現したのは、
- 売り手市場の時期に
- 学歴が早慶以上で
- 心理系就職から逆算した学生生活を送り
- 勤務地には目を瞑った
という前提条件があったからです。そもそも研究部門は学歴フィルターがかなり厳格なので、高学歴層でないと話にならないと思います。
それ以外の心理系職種となると、放デイの児童相談員や社会福祉法人などがありますが、これらは公務員よりも明らかに待遇が悪いです。都内でも30歳時点の年収が500万超える可能性は低いのではないでしょうか。
私の知る限り、都内の公務員で30歳であれば(住宅手当込みで)少なくとも年収500万は行くはずです。結局のところ、「心理学で、低リスクに中の上以上の生活をしたければ公務員一択」だと思います。
臨床系修士より高コスパ(?)
2025年現在、公認心理師になるには大きくAルート(心理系学部+臨床系大学院)とB(心理系学部+所定機関での実務経験2年)があります。この所定機関ですが
- 法務省矯正局
- 裁判所
があり、それぞれ法務省専門職・家庭裁判所調査官として2年働けばBルートでの受験資格を得られます。
民間病院や社会福祉法人の一部も指定施設ですが、その雇用条件は概ね最低賃金、かつSVなどの研修費は自腹です。そういったことを考えると、修士号に拘らないならBルート狙いの国家公務員はかなり魅力的です。*2
ちなみに、国家総合職の場合、最終合格からの名簿記載期間が5年です。学部時に合格できれば修士2年時に官庁訪問だけをすれば良い(しかも公務員の就活は時期が遅いので、民間で良いところに受かれば辞退すればよい)ので、ある種の保険にはなります。*3
家裁調査官の採用試験(学部卒)倍率はここ5年7~8倍と安定しています。法務省専門職(矯正心理)もさほど倍率は下がっていません。多くの公務員試験で倍率が下がっていることと対称的です。それだけ、心理学専攻の人材にとって、公務員以上の待遇を達成することは難しいといえるのではないでしょうか。
まとめ 学部卒公務員の選択肢を考えよう
今から5年前、以下のブログで心理職の大部分は院卒だったことを書きました。
現在は公認心理師制度が定着し、ますます心理職=院卒の傾向が強化されています。しかし、国家公務員の心理職であれば、学力さえあれば学部卒で採用されてしまいます。
注目度が低下しつつある公務員心理職を学部卒から狙うルート。手堅く利確する手段として前向きに考えてもらえれば幸いです。