こんにちは。
私は心理学の知見を活用して民間企業のR&Dで働いていますが、この働き方はまだまだ心理学部の学生にとっては珍しいもの。
逆に公務員心理職は人気で、「心理職で稼げるのは公務員だけ」という声すら聞きます。でも、本当に公務員心理職は最強なのでしょうか?
そこで今回は私が公務員心理職の方とお話しする中で気づいた、公務員心理職のデメリット*1を解説します。
以前の記事で、そもそも公務員心理職にはどんな仕事があるのか?を解説しています。詳細はこちらの記事をどうぞ。
政治家に待遇/働き方が振り回される
公務員試験を受けて採用されるいわゆる職業公務員は、個人の能力で採用可否と昇進が決まります。しかし、公務員に指示を出す政治家は選挙で決まります。
従って、政治家が決める政策によって公務員の待遇/職場が振り回されることがあります。特に首長も選挙で決まる地方公務員ではより顕著です。
さらに怖いのが民営化リスクです。特に地方公務員にその影響が大きく、最悪クビになります。
児童相談所や児童養護施設は、児童虐待が注目されたこともあり民営化リスクは低そう*2です。しかし、病院は民営化/独法への移行が急速に進んでおり、自分が病院勤務の時にクビになった!ということもありえます。
特定領域のプロにはなりにくい
公務員心理職の職場は大きく分けて、児童・成人向けの相談・児童養護施設、本庁での政策立案の3領域があります。*3
自治体の規模にもよりますが、この3領域を数年で異動することがほとんど。異動すればどうしても0から学びなおしになります。幅広い職種に触れられる利点はありますが、自分の専門性を決めて、それを伸ばすことで収入を得る民間のカウンセラーや病院の心理職とは異なるのが実情です。
男性&独身女性は夜勤あり職場勤務率が高い?
夜勤の存在は公務員心理職の大きなデメリット。ほぼ日勤のみの民間とは大きな違いといえ、体力的にもかなり辛いようです…なお夜勤は施設系(児童養護施設・鑑別所・少年院など)の職場が中心となっています。
この夜勤あり職場ですが、独身女性と(既婚含めた)男性が多いのだとか。公務員はワークライフバランス重視の人材配置をするため*4、子供が一定の年齢以下の子持ち女性を夜勤あり職場に配属しないなどの運用も行っているそうです。
そのため、子供を持つ予定のない人は特に、「夜勤あり職場に配属されることが多い(かも)」ということは理解しておくべきでしょう。
こういった情報はオフィシャルには説明されないため、「全心理職のうち、夜勤あり職場に配属される人はどれくらいいますか?」と言った聞き方で情報を集めるしかありません。
サービス残業が多く、労基署・労組が守ってくれない
民間企業以上に予算ありきで賃金が支払われるため、サービス残業が多いのが実情。もちろん政令市や大規模な都庁/府庁であれば残業代は8割以上は支払われます。一方で財政力のない自治体だと残業代はほぼ出ないケースも。
民間企業であれば、会社の労働組合には全員加入*5とする企業もメーカーを中心に多くあります。そういう労組が強い企業は残業代も全額支給、ボーナスも公務員以上ということも珍しくありません。
一方で公務員の場合、何かあっても労基署に頼れない、労組の活動が法律で制限される*6ため労組の加入率が低いのが実情。労組も頼りにくかったりするそうです。
終わりに
今回は公務員心理職の民間に対する4つのデメリットを解説しました。これらのデメリットは公務員心理職だからというよりも、公務員全般に当てはまるものがほとんど。
ただし、総合的に見れば公務員心理職はかなり恵まれています。デメリットを理解したうえでそれでも公務員がいいんだ、という形で公務員心理職を受けるといいのではないでしょうか。