大学院進学は必要?学歴別の心理学と就職

こんにちは。

 

心理学部生にとってはメジャーな選択肢の一つである「大学院進学」。 文系院卒としての不利を被るリスクがあるとはいえ,アカデミックや公認心理師,その他の心理職に就くためには必須な選択でもあります。

 

そこで今回は学部/修士/博士で就職するまではどう異なるのか?を考えてみます。

 

私自身はあくまでも学部卒→企業心理系技術職を選択したので,修士以上は先輩方のお話です。


そもそも心理学を生かした民間企業就職ってどうやるの?どんな企業があるの?という方はこちらのページを参考にしてください。

 

 

学部卒

心理学を活かさない!と決めているならばこの段階で就職した方が良いでしょう。
学部卒で就活をするメリットは大きく3つあります。

 

就活に時間をかけられる

単位取得が順調にできていれば,少なくとも4年生の前期には授業がほぼない状態になっているはず。就活を中心とした進路模索に使える物理的な時間が多いのは大きな強みになります。

先輩方の就職活動を見ていても,現行のインターン+3年の3月~4年の6月までの本選考という16卒以降の現行フローでは,早期に情報を得て準備をした人間が勝つと感じました。

個人によって単位取得などの状況に差はあるにせよ,4年生の前期を就活に専念できるメリットは大きいです。

選択肢が多い

四季報を見ている限り「文系院卒は採用しない」スタンスの企業も多くあります。

一方で,文系就職をする場合学部卒であることのデメリットは特にありませんでした。
「なんで学部卒で就活するの?」とは一度も聞かれませんでした。これは理系と異なる点です。

メーカーからコンサルティングまでどのような業界でも採用してくれるため,とりあえずインターンで業界を絞り,本選考では数を打ちまくる!という数打てば当たる戦法が使えます。

その一方で大学職員などの例外は別として,文系院卒が積極的に評価される民間企業は少ないのが実情です。

少しでも院進学の可能性があるなら,学部生ならではの選択肢が多いことを活かし学部生の就活では本命企業に絞り,ダメなら院進学という選択が取ることもできます。私も「全滅したら進学すればよい」とエントリー数をかなり絞って効率よく就活を進めることができました。

 

実績を問われない

私は先述のように民間企業の心理系技術職として採用されたのですが研究面での業績は全く聞かれませんでした。

面接前の段階では
  • 査読論文の実績がないこと
  • 知識量として明らかに少ないこと

が非常に不安でしたが,そういったことは全く聞かれずほっとしたのを覚えています。
聞かれたのは「業界選択理由」「心理学を企業で生かすとは?」などの伸びしろに関すること。

学部卒ならポテンシャル,というのは知ってましたがニーズの少ない心理系技術職でポストが決まっているはずなのに知識を求めなかったことに非常に驚いたのを覚えています。 

院卒の場合

私の先輩方を見ている範囲では学部卒と修士以上では想像以上に壁があるように感じました。


というのも学部卒の就職はリクナビやマイナビでオープンになっていますが,修士卒以上の就職は必ずしもそうではありません。

非常勤講師の職にせよ,パーマネントの研究職等にしても通常のサイトでは見られなくなっていますし,就職活動ではある程度の専門性を求められるようで...

特に非常勤講師や民間の研究職(アカデミック・企業とも)は教員とのコネクションを作れたか?かが結果に響くのではないでしょうか。


とはいえ一応は就活ルールに基づいて新卒一括採用される修士と基本的に新卒一括採用にとらわれない博士には大きな違いがあります。 

修士卒

学部生に比べて就活をする時間が減り,文系院卒としてのフィルターを貼られがち。
私の先輩方を見ている限り,現状では文系院卒(修士)のメリットは小さいと思います。
ただし学部卒にはない2つのメリットがあるように感じます。


公務員試験で有利に立てること

このページでも書いたように,近年の心理系(人間科学系)公務員は「院卒がメイン」という状況になりつつあります。

また,行政職で受験するにしても,東京都や京都市などのように「院卒程度」を大卒とは別に設けている自治体もあり,院卒になるだけで極端に倍率が下がる傾向にあります。

 

特定の業界に強い

フツーの銀行やメーカーでは見ませんが,特定の業界では文系院卒の比率が大きく上がります。私が見た限り大学職員とコンサルは文系でも院卒は優遇されるように思います。

コンサル系のインターンでも文系院卒を複数名見ましたし,日本IBMや野村総研のように文系院卒を10名以上採用している企業があります。そもそもの文系院卒の比率を考えれば多いと言えるのではないでしょうか。

また,国公立/私大を問わず大学職員は多いです。
私が説明会に行ったトップクラスの私大でも就活体験談を話していた職員さんは文系院卒でした*1し,四季報を見た範囲でもそうでした。全体で20名の新卒採用で文系院卒が4名…という大学もあり大学との相性はよさそうに思います。

実際「ある程度腰を据えて研究しないと研究者の気持ちはわからない」という発言が面接でもあり,院卒にはチャンスが多い業界だと思います。

 

企業で心理系研究職を目指すなら最低ライン

私のように推薦で押し込んでもらったケースはかなり少ないのが現状です。
実際に「心理学ワールド」*2や先輩方を見ていると「心理学で企業に行くなら最低修士,できれば博士」なのが実情。 私みたいに学部卒で採用された人は見たことがないです…。

 

学部生と比較して研究での実績もそれなりに積めますし,新卒一括採用であり入社後の教育がしやすく初任給も節約できる*3のも魅力かもしれません。

また今の職場に来て初めて知ったのですが,多くの大学では学校推薦枠が院生が優先となっているようです。。そういう意味でも研究や心理系技術職に行きたいなら大学院修士課程が好ましいように思います。*4

私が体験した推薦のお話はこちらの記事をどうぞ!

 

博士*5

アカデミックから出る選択肢が少ないのが現状で,理系ほどは企業からチャンスがもらえるわけではありません。とはいえ修士以下には絶対にないメリットがあります。

 

一括採用の制約を受けない採用後配属に縛られない

20卒段階では「3月広報解禁/6月内々定出し」の経団連ルールはベンチャーを除く日系では予想以上に厳格に守られていました(少なくとも形式上は) 

 

このルールが崩れてきているのは事実ですが,今後も何らかの形で政府や企業が就活のルールを作る流れは残ると思います(私の職場を見ていても,なんだかんだ一括採用のメリットは大きいです)。

 

一方で,博士卒(及び満期退学)にはそもそもルールが適用されていません。実際製薬企業の研究職は博士をD2の段階から採用しています。

私が直接知っている方でも社会学系の人に対してD2の段階で内定を出し,D3では博論を書きつつ週2で働いてもらうということが行われていました。


配属リスクを回避できる*6

ここでの配属リスクとは,配属先が入社時までわからず,全く意図しない部署・職種に配属されるリスクがあるというものです。

配属リスクの大きさは業界や各企業によります。確かに修士以下でも日立製作所のようにジョブマッチングを厳格に行う企業では内定時に配属先を確定させることができますが,そういう企業は決して多くありません。さらに,一括採用ではないので

学位取得は必須ではない

心理系の場合,研究職以外で就職するならば「満期退学でも良い」のも魅力。実際私の元上司も博士課程を満期退学で職場に採用されていました。

博士論文以外の単位を揃えること自体は比較的容易なようで,「学位取得は諦めて企業に行く」と決めれば自由なタイミングで就活できるのは大きなメリットです。もちろん年齢制限は大きな問題ですが...

関心を持ってくれる企業さんに対し,早期選考を受けることができます。

まとめ

学歴別に選択が変わってくるのが実情。ご質問を頂ければできる範囲でお答えします。

*1:その大学の卒業生ではなく他大学出身者です

*2:日本心理学会の学会誌

*3:中途であれば個別交渉になり,企業から見れば高い初任給を払わされるケースも

*4:ほとんどの企業で「博士は自由応募」になっていました。推薦での内定が欲しい場合は修士までに決めた方がよさそうです

*5:満期退学やポスドクを含む

*6:企業ごとに大きな差があり,必ずではありません