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【高校生向け】資格取得後も楽じゃない!?公認心理師・臨床心理士をめぐる非正規雇用の話

こんにちは。

以前,臨床心理学を学んで臨床心理士/公認心理師範になりたい!
という受験生向けに記事を書きました。

 

この記事には「心理学部に入ったからといって,無条件に臨床心理学のコースに進めるわけではない」と書きましたが,実は臨床心理学を学んで公認心理師になれたとしても不安定な生活が待っている(?)ということを解説したいと思います。

よく読んだうえで,心理職狙うなら大学院(つまり6年間大学に通う必要がある)が必須になりつつあるけど本当にそれでいいの?を考えてもらえれば幸いです。

 

POINT臨床心理士/公認心理師ってなってからも安定的な生活ができるわけじゃないぞ!というすごく夢のないお話です。


私がまだ学部1年生だったころ,「発達障害をもつお子さんを専門に扱う療育や塾」でスタッフをしていました。

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実際はもっと授業っぽいことしてました



実際に働いてみると,「教科書であんなに書かれていた療法では全く効果がない...」
「なんでうまくいかないんだ?」などなど臨床における難しさもあります。

学部生の早い段階でこういう経験をしておけば,自分の適性を考える良いチャンスになるのではないでしょうか?

私の場合,ここに来てくれる生徒さんを(私自身が)「授業という刺激を与えるサンプル」としてしか見ていない!という現実に気づき,自分にはこの仕事の適性がないのだと感じました。

 

とはいえ,生徒さんが少しでも授業に集中できるようになったり*1,無事に生徒さんの進路が決まったときなど嬉しいこともたくさんありました。*2

しかし,やりがいだけでは支援者はやっていけないな...という現状もありました。

具体的には報酬,特に社員の皆さんの給料が安すぎるということです。
*3

彼らのほとんどは院卒(大学院修士),一部は博士後期課程を終えている方もいます。

そのような優秀な方々がほんの少数の正規雇用の枠を求めて100倍以上の倍率で競争しているのが,現在の臨床心理士の現状です。

確実・かつ安定的に心理学で食べていきたい!のであれば公務員心理職がおススメです。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。


正規採用されてもせいぜい額面の月給が20万円だったりします。東証一部上場企業の大部分が学部卒正社員の初任給を20万円にしている現状を考えても,恵まれていないなあ...と感じます。

さらに驚いたのが「非正規雇用」の方の多さ。私の職場にいた方は院卒社会人であるにも関わらず非正規雇用の方でした。

 

正規雇用の特徴はいろいろありますが当時いた職場の場合,給料の支払いが「時給」である,5年を上限に雇止めされることが決まっているため生活の見通しが立たない,などがありました。


そして非正規雇用の中でも心理職の方々の大部分は非常勤職員です。
毎日違う職場に通います。

ある週のスケジュールを聞くと...

月曜日:うちの塾で療育の仕事

火曜日:A高校でスクールカウンセリング

水曜日:あるNPO不登校児の支援

木曜日:うちの塾で療育の仕事

金曜日:B中学校でスクールカウンセリング


これら全て非常勤職員としての採用。
しかもスクールカウンセリングは「学校が休みの期間は行われない」ため長期休暇の時期はさらに給料が削減されます。

臨床心理士/公認心理師の仕事は主に,病院・教育の2つがありますが,特に教育では非正規雇用で働いている方が多いのが実情でした。*4


しかも土日には学会で研修があったりと,なかなかプライベートも忙しいようで...*5

受験生の皆さんが臨床心理学に関心を持ってくれるのは嬉しいですが,この厳しい現状は少なくともあと10年ほどは変わらないでしょう。

そして,現状を理解しないで安易に目指されて困るのはクライアント(相談者)の皆さんです。

こういった現状があることを理解したうえで,それでもいいのかを考えて志望して欲しいですね。

公認心理師になりその待遇が改善されることを切に願います...


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*1:この塾に通う生徒さんにとって45分の授業を集中し続けることは,極めて難しいことだったのです

*2:ここでの活動のことは就職活動の際のESにも毎回書いていた

*3:「給与」ではなく「報酬」と書いたのは雇用ではないからです。つまり労基法が適用されないことを意味します

*4:逆に病院では正規雇用の人がそれなりにいます

*5:臨床心理士の資格を維持するためには,論文を出したり研修に参加してポイントを貯める必要があるのです。