【研究室格差】調査の謝礼が自己負担!?お金のない研究室の現状とお金のある研究室の見抜き方

本記事はコラム「お金のある研究室は何が凄いのか?」を基に大幅に加筆修正し,正式な記事に格上げしたものです(2019/11/18)。



こんにちは。

以前こちらの記事で科研費に採択されているテーマを選ぶメリットについて書きました。

 

この記事でも書いているように,科研費を獲得しているラボに入るメリットはたくさんありますが,そのひとつは「お金がたくさんある」ことです。理系学部ほどではないですが,心理学研究にもお金って大事なんですよね...

心理系の学部でも大学・研究室によってお金のあるなしには大きな差があるのです。それはもう埋めようがないほど...

POINT本記事は日本の大学研究室における研究費格差と,お金のある研究室の見抜き方を解説しています。

f:id:husbird:20191118163624j:plain

お金のある研究室の場合

私は大学1年生のころ,所属とは別の大学の研究室で海外(確か東欧系の方でした)からの博士課程学生の研究のお手伝いをする,というアルバイトをしていました。

その中でも,彼女が使う論文(分野的に日本語論文が多かった)について英語で説明をしてあげたり,論文の最後にある先行研究の情報を並べ替えたり...内容自体はとても基本的なもの。

そのラボでしばらく働いているうちにこんなことに気づいたのです。

このラボすごい金持ちなのでは...

どんなところがリッチだったのか,自分なりに思い出してみると...

  • 秘書が2人いた
  • 予備実験でも謝礼があった
  • 私のようなアルバイトを3人雇っていた
  • 教授・准教授が1人ずつと年俸が高いと思われる教員が複数いた。



彼女が帰国するタイミングで私はこのラボから去ることになったのですが,このラボが噛んでいる研究について少し調べてみました。

すると,「科研費」は途切れることなく確実に取得できている,「財団からの受託研究」も複数持っている,おまけに官公庁紐づきのプロジェクトに参加しているということがわかりました。

そのラボのお金の使い方を見てみると,あたりまえだけど関係する学会誌は(英語雑誌含め)ほぼすべて取り揃えている,コピーは無限に取り放題,結構高額なコンピュータを単独で利用している,という感じで非常に恵まれていたのです。

私の研究室も心理学の中では非常に恵まれているほうですが,アルバイトを雇えるほどのお金はありません。面倒なデータ分析も学生自らで行います。

お金のない研究室の場合

以前ある学生がしていた卒論を書くための調査に協力した際のお話です。この方がいた大学は決してFラン大と呼ばれる大学ではなく,国内でも有名大学の1つとされている大学でした。

この方にお願いされて調査に協力したのですが,その際の謝礼1000円は学生の自己負担とされていました。この方は1時間のインタビューを20人行う必要があったため,謝礼だけで20,000円かかることになります。

この方の場合,調査に参加する人のもとにわざわざ訪問して調査を行いその交通費も自己負担だったのです。私としては衝撃的...という感じでした。

この方によれば「自分の研究室の先生は科研費を取れていない。同じ大学でも他の研究室は実験とかができる」という話をされていて,研究室ごとの格差は同じ大学の同じ学部でもあることが伺えます。

運営費交付金科研費の解説

ここで「運営費交付金」と「科研費」のお話に移ります。基本的には運営費交付金は大学に対して与えられるお金であるのに対し,科研費は研究者個人に与えられるお金です。

とりあえず2017年度の運営費交付金の方針についての文科省資料を見てみます。



詳しい内容は外部リンクを見ていただきたいのですが,端折って書くと各大学の独自の強みを生かすために、選択と集中の方針で資金を大学に投入する。また年度ごとに成果の確認を行う,というものです。もともとは分野に傾斜をあまりつけずに人文系を含む多様な分野に投資するのが運営費交付金の特徴だったはずですが,この10年で変わってしまったように感じます。

重要なのは各大学は明確に1から3までランク付けされているということでしょうか。
面白いくらい大学のブランドとランクが一致しているのは「そういうこと」になります。

さて次に「科学研究費補助金」(いわゆる科研費)について考えてみましょう。


そもそもこの研究費は「優秀な研究者の研究に割り当てる」ものです。そのため全員がもらえるわけではなく,ラボごとの格差が生まれ,ほとんどお金がない研究室もあります。

ただし科研費には「間接経費」という枠があります。これは科研費の一部は研究者が所属している機関に割り当てられるというものです。私が聞いた京大では獲得した科研費の3割らしく,それなりの研究費が大学に吸い取られているのがわかります。



科研費の場合,決まった用途以外で使うことは違反とされており,このことが原因であまり合理的ではないお金の使われ方をしていることもあります。*1研究費の不正利用といえば最近だと阪大の青江教授とか話題になりましたよね...

先生方の収入事情を理解すると同時に,これが学生の研究にも響くと思うと少し空しくなります。

対策~お金のある研究室の見抜き方~

お金がない研究室でも学生が楽しい研究生活を送ることができるかもしれませんが,お金のある研究費であれば自己負担を抑えつつ充実した研究生活を送ることができます。

だからこそ研究室訪問でこの研究室はお金があるのか?自己負担になっている経費は何があるのか?を把握する必要があるのです。

研究室訪問のやり方はこちらの記事をご覧ください。一応院試向けの記事ですが,学部生がこれから入る研究室を選ぶ際にも参考になる点があるはずです。

でも...研究室訪問をすればいいのはわかるけど,先生に「この研究室はお金がありますか?」と聞くのはかなり難しいですよね。

安心してください。10以上の研究室を見学し,心理学の中ではかなり恵まれた研究室にいる私にはこんな秘策があります。

研究室に貼られているカレンダーを見ましょう!そのカレンダーに取引先・共同研究先と思われる企業のロゴがあればその研究室はお金持ちです!*2

お金のある研究室であれば,他の研究機関や企業との共同研究などをしていることが多いです。そしてこういう企業などは年末になるとお付き合いの一環で手帳やらカレンダーやらをたくさん送ってきます。

私の研究室では企業からもらいすぎたカレンダーを教授から学生に分配するのが年末の風物詩になっています。去年も2つもらったので1つは祖父宅にあげました。
 
カレンダーだけで見抜ける!のは極端だとしても,研究室訪問では先生や学生から話を聞くだけではなく,設備や内装などもしっかりチェックするのが大事だと思います。

*1:そもそも最近は大学の資金管理は非常にうるさいですが

*2:もちろん例外はありますが,心理学であれば的中率は90%近いと思います