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【新卒】就活に集中するために!前倒しでやって良かったこと

f:id:husbird:20190825183607j:plainこんにちは。 以前こちらの記事で発達障害を持つ私がクローズ就活を選択した理由を書いてみました。

 

関連記事【新卒】発達障害の私がクローズ就活を選択した理由

この記事では就活に向けて色々苦戦したことを解説しましたが、「就活以前の問題なんですが...」という人もいるはず

POINT

本記事は主に発達障害を持つ新卒学生(主に学部3年,修士1年)に向けた就活準備のアドバイス記事です。

障害理解

そもそも障害の程度,傾向によっては一般枠で納得できる就職先を見つけるのが困難...というケースも多々あります。

  • 多動傾向が大学生になっても残る
  • 実は軽度の知的な遅れを伴っている
  • 面接という緊張する空間ではパニックを起こす
  • 感覚過敏

このように障害が明らかに外部に出ている状態だと一般就労は厳しいかなあ...と感じます。*1

実際の就活はたくさん落とされるので*2精神的なダメージが大きく鬱になる人も。一般就職で無用な玉砕をしないためにも,なるべく早いうちに障害理解をした方がいいのでは...と感じます。

対策としては一定のリスクはあるものの,就活前に発達障害の診断を受けるのも一つの方法。
私も大学2年生の冬に診断を受け,障碍者就労の現状を合わせて理解しました。

障害理解ができれば、自分に必要な配慮や自分ができそうな仕事がわかります。

単位取得

一般枠でもそうですが...就職活動を円滑に進めるためには早いうちに単位を取得していることが大事です。

就活中はインターンや面接やで授業に行けないこともしばしば。コロナ前に就活をした地方住みの私の場合、ひどいときで月の半分は就活の為に東京滞在でした

マルチタスクが苦手!な私には、就活と授業を両立するのはかなりキツかったです。多分理系だったら無理だと思います。

外資系やベンチャー企業などは本選考or選考直結型のインターンを授業期間中にやる傾向があります。

また、本選考になると「成績証明書」や「卒業見込証明書」などの提出が求められます。私の同期では、卒業が危うく提出できない、成績がCばかりで社員に詰められた...という人がいました。

選択科目も活用して、2年生までにできるだけ単位を取得しておくのがおすすめ。

貯金

やはり就活にはかなりのお金がかかります。コロナ前に地方就活生だった私でおよそ30万円くらいでしょうか*3

就活生になるととにかく時間がありません。新幹線を多用したり、外食続きになったりとお金は飛んでいくばかりでした。

当時は交通費をジャンジャン出してくれたので何とかなりましたが、今の就活なら詰んでいたはず。大学1年生の時から計画して少しずつ貯金していれば良かったです。

服装及びルックス

顔面偏差値を上げろ!という意味ではありません。発達障害(特に自閉症傾向の強い方)の場合、自分の見栄えを全く気にしないで面接に行ってしまう...という傾向があり外見でアウト!を食らう方もしばしば。私自身もこれは大学から指導されました。

例えば男性の場合、

  • 歯は毎食後に磨く
  • 寝ぐせは直す
  • 眉毛はとりあえず剃る
  • スーツの汚れは取る

くらいしておけば最低限なんとかなります。*4

女性の場合、ストッキングの断線や眉毛の書き忘れなども入るのでしょうか...

技術系でも上記レベルの身だしなみはクリアできないとかなりキツイのではないでしょうか...

このあたりが不安な場合、大学の就職課(できれば障害学生向けがよい)に相談をおススメします。親切に答えてくれはずです。

ESの内容を決めておく

フツーの学生にも言えることです。3年生の1月以降は、毎週のようにESの締め切りがあります。

本当に時間がないです!インターンと本選考のESはほぼ同じなので、今のうちから考えておき、使いまわしましょう。

内容は主に、学生時代に力をいれたこと(ガクチカ)と志望理由の2つです。

特にガクチカは最低3エピソードは欲しいです。文系の場合,学業・アルバイト・その他で1つずつ揃えられるとなおさらいいと思います。

 

ガクチカについては,100字,200字,400字,800字の字数ごとに作成しておくと,ES作成時にはチョイチョイ修正するだけで提出することができます。

逆にいうと今1,2年生の方はESに書ける実績を積み上げましょう!ということになります。*5

志望理由(特に業界)は面接に向けての準備ですね。
就活解禁後はとりあえずESを出さざるを得ない側面がある(特に官公庁系)のでメインの志望業界は決めておくと良いでしょう。余計なストレスを避けることができます。

私の場合は.研究所総合職or大学職員・マーケティングリサーチを中心にすると決めていました。

 

ESの段階では志望動機を求められないこともあります。

まとめ

障害があると、オープン・クローズの選択から就活が始まります。就活はテクニック重視ですが、お金や単位取得など就活に集中できる環境づくりも大事です。

十分な下準備が納得できる進路選択につながると思います。ご質問があれば遠慮なくコメントなりtwitterなりに投げてくれれば対応できるかもしれません。

 

質問箱の方を開放しておきますので,気になるところがあれば質問箱にでも入れてもらえると幸いです。(記事のネタ探しにもなりますし...)

*1:周囲でこの傾向がある方は障害者枠を選んでいました

*2:私は早期に決まった方ですが,それでも15社以上に落とされましたね...

*3:リクルートスーツ除く,たぶんほぼ全てが交通費です

*4:リクルートスーツ,オシャレを考えなくていいのありがたい

*5:私はサークル等の実績がなく,アルバイトの経験を押していました。辛い...

【夜勤が多い?】公務員心理職のデメリット4選

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こんにちは。


私は心理学の知見を活用して民間企業のR&Dで働いていますが、この働き方はまだまだ心理学部の学生にとっては珍しいもの。


逆に公務員心理職は人気で、「心理職で稼げるのは公務員だけ」という声すら聞きます。でも、本当に公務員心理職は最強なのでしょうか?

そこで今回は私が公務員心理職の方とお話しする中で気づいた、公務員心理職のデメリット*1を解説します。

POINT公務員心理職デメリットは大きく4つ。働き方に関するデメリットが中心です。


以前の記事で、そもそも公務員心理職にはどんな仕事があるのか?を解説しています。詳細はこちらの記事をどうぞ。

政治家に待遇/働き方が振り回される

公務員試験を受けて採用されるいわゆる職業公務員は、個人の能力で採用可否と昇進が決まります。しかし、公務員に指示を出す政治家は選挙で決まります。

従って、政治家が決める政策によって公務員の待遇/職場が振り回されることがあります。特に首長も選挙で決まる地方公務員ではより顕著です。

さらに怖いのが民営化リスクです。特に地方公務員にその影響が大きく、最悪クビになります。

児童相談所や児童養護施設は、児童虐待が注目されたこともあり民営化リスクは低そう*2です。しかし、病院は民営化/独法への移行が急速に進んでおり、自分が病院勤務の時にクビになった!ということもありえます。

特定領域のプロにはなりにくい

公務員心理職の職場は大きく分けて、児童・成人向けの相談・児童養護施設、本庁での政策立案の3領域があります。*3

自治体の規模にもよりますが、この3領域を数年で異動することがほとんど。異動すればどうしても0から学びなおしになります。幅広い職種に触れられる利点はありますが、自分の専門性を決めて、それを伸ばすことで収入を得る民間のカウンセラーや病院の心理職とは異なるのが実情です。

 

男性&独身女性は夜勤あり職場勤務率が高い?

夜勤の存在は公務員心理職の大きなデメリット。ほぼ日勤のみの民間とは大きな違いといえ、体力的にもかなり辛いようです…なお夜勤は施設系(児童養護施設・鑑別所・少年院など)の職場が中心となっています。

この夜勤あり職場ですが、独身女性と(既婚含めた)男性が多いのだとか。公務員はワークライフバランス重視の人材配置をするため*4、子供が一定の年齢以下の子持ち女性を夜勤あり職場に配属しないなどの運用も行っているそうです。


そのため、子供を持つ予定のない人は特に、「夜勤あり職場に配属されることが多い(かも)」ということは理解しておくべきでしょう。

こういった情報はオフィシャルには説明されないため、「全心理職のうち、夜勤あり職場に配属される人はどれくらいいますか?」と言った聞き方で情報を集めるしかありません。

 

サービス残業が多く、労基署・労組が守ってくれない

民間企業以上に予算ありきで賃金が支払われるため、サービス残業が多いのが実情。もちろん政令市や大規模な都庁/府庁であれば残業代は8割以上は支払われます。一方で財政力のない自治体だと残業代はほぼ出ないケースも。

民間企業であれば、会社の労働組合には全員加入*5とする企業もメーカーを中心に多くあります。そういう労組が強い企業は残業代も全額支給、ボーナスも公務員以上ということも珍しくありません。

一方で公務員の場合、何かあっても労基署に頼れない、労組の活動が法律で制限される*6ため労組の加入率が低いのが実情。労組も頼りにくかったりするそうです。

ただし、労組に入ると月々の給料から2%ほど天引きされたり、支持政党の政治活動をするよう求められるケースがあります。そもそも労組に入らない公務員は今紹介した面倒なことを回避できるのはメリットですね。

終わりに

今回は公務員心理職の民間に対する4つのデメリットを解説しました。これらのデメリットは公務員心理職だからというよりも、公務員全般に当てはまるものがほとんど。

ただし、総合的に見れば公務員心理職はかなり恵まれています。デメリットを理解したうえでそれでも公務員がいいんだ、という形で公務員心理職を受けるといいのではないでしょうか。

*1:民間企業で心理学を活かして働く場合との比較

*2:人員を増やす自治体も多くあります

*3:警察や鑑別所といった司法領域は特殊なので除外

*4:県庁/政令市などの財政力のある自治体の話

*5:いわゆるユニオンショップ

*6:ストライキが禁止されています。さらに警察や鑑別所の場合労組を作れないといった制限もあります。

企業における心理系R&Dのデメリット~「こんなはずじゃなかった!」を防ぐために~

こんにちは。

私は大学の心理学部を卒業後、民間企業で心理学を活かした研究開発(R&D)をしていますが、大学とは違うところが多々あり日々ビックリすることの連続です。

以前、大学にはない企業のR&Dのメリットを解説しました。心理学のR&Dならではのメリットも多く、いろいろな方に読んで頂いています。


その一方、大学ではそんなこと言われなかったのに…というデメリットももちろん存在します。いいところだけをみて企業に就職して、こんなはずじゃなかった...とならないように今回は心理学専攻→企業の研究開発を選ぶデメリットについて解説します。

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テーマを選べない

大学の場合、学部生でも自分が好きなテーマを選べます。そのため、大学の卒論のテーマを見ると「おう…こんなんあるのか…」という成果の活かし方が見えにくいものも。

このように学生が自由にテーマを選べるのは、大学が教育機関であり研究室の運営という観点でテーマを選ばなくて良いからです。そのため、少なくとも学部生であれば自分のテーマが成功するか否かをさほど心配せず研究できます。

もちろん大学院進学率の高い理系の研究室であれば、毎年IFが〇以上の雑誌に×本通すということを意識しているところもあります。

 

一方で会社の場合、「5年後にこの技術を含んだ商品を発売する」「10年後の会社はこの技術で儲ける」ということを明確に考えています。それは、利害が様々ある社員同士が協力して業績を上げるためには経営陣が明確な方針を示すこと、株主に対する説明責任を果たすことが必要だからです。

いずれにせよ会社が方針を決め、それを達成する為の研究計画を研究所が作り、実際の研究内容に落とし込まれます。社員の目線からすれば、成果が出るかわからない実験を押し通すのはほぼできません。

また、会社の方針は数年に1度変更されます。それを受けて研究テーマが途中で中止になったり、あるいは研究所そのものが閉鎖されるというリスクもあり、テーマどころか研究開発の仕事を続けられなくなるリスクもあります。

そのためやりたい研究テーマが明確で、これじゃないとムリ!という人には企業に就職しても幸せになれないと思います。逆に上層部から降ってきたテーマの面白さを見出せる人ならば、テーマの成功率の高さもあって幸せになれるはずです。

研究成果は「会社のモノ」になる

大学での研究開発の成果は論文です*1。論文の引用文献を見ればわかるように、「論文の著者は誰か?」は非常に重視されています。

こういうことができるのは、誰がどの程度その研究に貢献したのかをある程度明確にできるからです。実際に実験した、考察案を示すなどの貢献が論文の著者に反映されていきます。

一方で、会社の仕事は誰が貢献したのか?を明確に出来ません。最終的には上層部の人がハンコを押してくれなければ仕事ができませんし、特に開発であればいろいろな調整が必要になり、利害関係者が増えすぎるからです。

特許で報いることもありますが、その対価は微々たるもの。そして基本的には特許は会社のものになります。

従って、企業において個人名で研究成果に応じた対価を得るのは(特に日系企業では)難しいと思います。

学術的に「正しい」ことが会社として成り立たないことも

企業でも心理学の研究開発をしていると、商品AはBのように変形すると使いやすくなる!ということが科学的にわかってきます。例えば今までより短時間で操作できる、あるいは操作中のミスが減るといった感じに。

しかし、それを製品に入れようとすると、例えば次のような問題が出てきます。

  • コストが高くなるからダメ
  • 法規制の問題からそのデザイン変更はできない
  • 加工が難しいのでそのデザインは嫌だ
  • 安い製品に機能を追加すると、フラッグシップモデル売上ダウン

こんな理由で、科学的には正しいことが実際の商品には搭載されないことがあります。上記は経営戦略上正しいですし、法律面からも問題がありません。ただ、科学的に正しいことを求める研究者の目線からすると納得できないのも事実。

自分の信念に反することはしたくない、という理由で高待遇な企業を辞め、大学に移った人を複数見ています。

心理学を理解してくれる人がまだ少ない

これは心理学特有の事情です。私が見る限り、心理学の知見を活かして企業で研究開発をする人材はまだまだ少ないです。

伝統的に心理学の人を採用する化粧品メーカーなども、学会でポツポツ見かける程度。

従って、心理学特有のあるあるは、ほとんどの人に理解してもらえません。例えば次のような問題に入社当初驚きました。

  • 質問紙をきちんと作ることの難しさ
  • ヒトを相手にした研究倫理の問題
  • 実験という特殊な環境で起こるバイアスをいかにして減らしていくか?

心理学の人が当たり前に意識しているこれらは、ずっとモノに向き合ってきた理系の人たちは知らないことなのです。

そしてもっと驚いたのが、モノを作る工学や化学の場合、実験前にN数が決まっていないということ。心理学の場合、実験参加者の数を後で調整することはタブー視されていますが、あちらの文化としては良いものができるまで試作や合成を続けるのがフツーらしいです。


ちなみに、実験参加者数を実験後に追加するとなぜいけないのか?について知りたい方はこちらの記事で紹介している本を読んでみてください。


こういう研究手法の違いが理解されないだけでなく、「ヒトを研究して金になるの?」とか「そもそも個体差大きいヒトなんて研究出来る訳ない」など心ない言葉を社内から言われることもあります。これが一番つらいところ。

工学系と異なり、会社の収益にどう貢献するかが明確に見えない現段階では、こういう批判に耐えながら研究開発を続ける必要があるのは企業のデメリットでしょう。

まとめ~デメリットは多いが、現実を見れば企業の魅力は大きい~

ここまで書いてきたように、企業ならでは見られない汚いもの、泥臭い部分はたくさんあります。ただ、研究の自由度が魅力の大学も最近ではそうなくなりつつありますし、企業でも研究開発者の待遇改善に向け工夫をしているのも事実です。

そこで、デメリットも踏まえて心理学→企業のR&Dに来て幸せになれそうな人をまとめてみました。個人の意見ですが、おおむね次のようになります。

  • おカネが大好きで、現実の汚さに目をつぶれる人
  • 心理学には関心があるものの、細かいテーマにはこだわらない人
  • 若いうちは自分の研究開発に集中したい人
  • 自分自身が心理学→企業という新ルートのパイオニアになりたい人

私自身はおカネ好きなので、概ね満足して企業で働いています。さてあなたはどうでしょう?この記事が自分の進路を考える一助になれば幸いです。

*1:最近は積極的に特許を取ったり、ベンチャーと協業する研究者の方もいます

大切な配属面談、必要な事前準備は?

こんにちは。

就職先も決まって、卒論も終わり、後は卒業式を待つだけ...という学生さんも少しずつ増るこの時期。

そんなこの時期に設定されることの多い配属面談/配属希望届。配属が大事なのはわかるけど、準備すべきことがわからない…という人も多いはず。そこで今回は配属面談及び配属希望の概要と準備すべきことをまとめました。

POINT日系メーカーの技術系で採用された方に向けて、配属前にすべき準備を解説しています。技術系で採用されているなら理系・文系不問です。

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なぜ初期配属が重要なのか?

まずは初期配属の重要性から解説します。

他社のことはよく知りませんが、メーカーの技術系では初期配属された部門でキャリアを積むことが多いです。特に、事業部制を敷く企業であれば初期配属の事業部内でキャリアを積むことが多くなっています。これは程度の差はあれども日系・外資ともに共通でしょう。

これは職種別採用だけではなく総合職採用でも同じです。会社もスペシャリストを重視するよう方向に進んでいるようで、社内では今までの仕事と無関係な異動はほぼありません。

つまり、初期配属に失敗すると一生それを引きずるリスクがあるということです。

では何を準備すればいいか?を私自身の経験も踏まえて書いていきます。まずは知識をつけましょう。

既に埋まっている部署に配属希望を出さない

特にR&D、その中でも先行研究/技術開発部門はこの傾向が顕著です。他社の知人から聞いた話だと、総合職採用なのに、特定の部署は事前に配属が確約されている人で全部埋まっていた...というケースも。

こういう人はインターンだったり共同研究をきっかけに入社した人だったりします。だからインターンや共同研究でどこを選ぶか?が大事なのです。


こういう場合、研究や技術開発の部署を志望しても配属されません。逆に、R&D内の設計、生産系の部門はガラ空きだから簡単に内定を取れるケースもあります。

対策としては、少し広い目線で自分の専門を生かせるか?を考えて部署の希望を出す、例年どの部署が配属で人気なのか?をOB訪問などで知っておくといいでしょう。

年ごとに配属人数は変動しますが、新入社員の中での人気部署は不祥事などが起こらない限りあまり変わりません。

不人気部署はなるべく志望しない

総合職採用の企業の場合、入社してから配属先が決まることが多いです。このとき人事と配属先の上司が話をして配属先が決まりますが、どちらの影響力が強いかは会社ごと、年ごとに違ってきます。

一つだけ言えるのは、人事は「新人を受け入れる部署と就活生双方の満足をうまく調整したい」ということです。詳しくは下記の外部リンクに書かれている通りです。


どの企業にも人気部署と、できれば避けたいな不人気部署があります。それは当然のこと。

ただし人事としては人数を調整する必要があります。そこで「不人気な部署に行ってくれる人も欲しいなあ...」と考えています。

このような状況で「配属希望リストの中に不人気部署を下位に入れる」と、多くの場合その部署になります*1。そこで内定式や懇親会などのチャンスで同期の行きたい/興味のない部署を聞きましょう。

そうすれば、少し興味があるだけで不人気部署に希望を出す→そのまま配属…というリスクは減らせるはずです。

転職前提なら、他社でもやってる事業/職種を

定年退職までこの会社で働きたい人、数年での転職を前提に入社した人もいるはず。それは個人の自由です。

ただ、初期配属が退職まで影響しやすい以上、この会社に何年いるか?は考えて希望を出すべき。定年退職まで働くなら、競合他社では取り組んでいない事業/職種を希望して良いでしょう。しかし転職する場合、少なからず職務経歴によって転職先は制限されます*2

従って、競合他社が撤退した衰退期の事業を担当すると、愛ではごまかせない苦しみがあります…「衰退する商品の子守をする」仕事をしている知人は、近々待遇が悪化するが、この経験では他社に行き先がないという状況になっています。

そのため転職前提なら、他社でもこの仕事ありそうか?を考えてから配属希望の出し方を決めるべきでしょう。

譲歩できること、できないことを明確にする

若手の段階で部署間の差が出るのは大きく次の4つです。

  • 勤務地
  • 労働時間
  • 業務内容とキャリアパス
  • 部署の雰囲気
日系メーカーの場合、総合職採用ですから部署間での給料格差は少ないです。差が出るのは残業代の部分でしょう。



上記4つの中で配属による影響を一番受けるのは勤務地でしょうか。基本的に研究開発系は、心理学の人を多く採る機械・化粧品なら都市部周辺にあることが多いです。都内や大阪府内とは限りませんが、おおむね政令市の周辺にあることが多いと思います。

逆に工場は僻地にあることも珍しくありません。県庁所在地から1時間以上、電車通勤不可な会社も数多くあります。

そこで、少しでも都市部勤務の確率を上げたいなら研究開発系あるいはバックオフィスを強くお勧めします。特に理系の新入社員が興味を持ちにくい知財や研究系広報、企画系の部署は本社やそれに近い地域への配属が多く、都市部で働くことを重視するならばかなりおススメです。

2番目は労働時間について。技術系で配属される部署だと、現場やユーザーに近い部署ほど労働時間が長い傾向にあります。逆に研究系の部署は比較的労働時間が短めになります。それは現場になればなるほど納期が厳しいからです。

逆に言えば、日系メーカーでお金を稼ぎたいならば研究ではなく開発や生産技術などの部署を志望すると良いでしょう。若手の場合労働時間に比例して残業代が増えます。

 注意

裁量労働制の場合働けば働くほど時給が低下することになるため、労働時間が増えるのは単純なマイナスです。


本題に戻ります。若手で部署間の差があるのは勤務地・労働時間・仕事内容とキャリアパス・部署の雰囲気の4つだと話しました。全部第一希望にこだわるのは難しいため、譲れるところと譲れないところを明確にして配属希望を出すことが大事です。

私の場合、仕事内容・キャリアパスはこだわりましたが、労働時間はかなり妥協しました。結果的には概ねアタリの部署を引き当てたと思います。

逆に譲れるところ、譲れないところが曖昧だった人は、納得のいかない配属先になっているようです。

また、その部署を志望する理由を明確にすることも大事。ふわふわした理由だと「絶対にその部署じゃないと困る人」よりも優先度は落ちたように見えます。特に配属前の志望を面談で伝える場合、事前に面談練習をして論理的なムリがないようにしておくべきです。

まとめ~事前の準備と理解が納得の配属に繋がる~

ここまで、配属希望を出すために気を付けるべきだことを書いてきました。

特に理系の場合、内定の時点で配属先がある程度決まっているケースも多いようなので*3、内定後にあがいても無駄だったということもよくあります。

しかし、自分なりにきちんと意思表示をすればひっくり返すことも不可能ではありません。この記事を参考に対策を立ててもらえればと思います。

*1:私の知っている範囲ではそうだった

*2:第2新卒のようなキャリアをリセットする転職は別です

*3:文系と違い専門性が重視されるだけでなく、学校推薦が多く内定辞退のリスクが小さいため、配属先を想定しながら内定を出した方が効率的

【準備が大事】学部卒で心理職に就くための対策とは?

こんにちは。

このブログでは心理学を活かした仕事への就職法についていろいろと書いてきましたが、何度か「やっぱり院卒がメイン」と書きました。

私がTwitterでアンケートをした結果が示すように、心理職=ほぼ大学院卒が必須な状況になっています。

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それでも学部卒で就職したい、早めにお金が欲しい人もいるはず。私自身も経済的安定を重視して学部卒で民間企業で心理学の知見を活かした研究開発職につきました。

今回は、学部卒で心理職*1に採用された私の目線で、すべきことを書いてみます。

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心理学→企業就職の一般的な話を知りたい!という人はまずはこちらを読んでください。

学部卒を取る会社/自治体を選ぶ

上のグラフでも見せたように、学部卒での心理職はかなり少ないです。しかし、学部卒でも普通に採用してくれる組織もあります。例えば次のようなところです。

  • 民間企業の心理学を活かしたR&D
  • 調査会社の質問紙を作る部署
  • 国家公務員
  • 公認心理師Bルートの対象施設*2

まず民間企業のR&Dは院卒以上がほとんどですが、学部卒でも企業とのつながりがあれば採用されます。</p >マクロミルやインテージなどの調査会社です。質問紙を作る部署ならば心理学の知見をかなり生かすことができます。院卒の比率は民間企業にしては高いですが、私が知る範囲では学部卒の方がまだ多いです。

そして一番重要なのが、「Bルート」の対象施設への就職。Bルートは学部卒*3+指定施設*4での一定の実務経験により公認心理師の受験資格を得ることができます。

指定施設は少年院や家庭裁判所といった国の施設だけでなく、国指定の病院や社会福祉法人もあります。

例えばこちらのメンタルクリニックなら週3日勤務で時給1300円。また院内でのケース検討会などもあるようです。

待遇はアルバイト+αですがお金を貰いながら勉強できますし、将来の志望領域に近い経験を積めます。

現役の心理職によれば、領域を超えた転職はそれなりに難しいようです。

修士号にこだわらないなら、むしろBルートの方がいいかもしれません。

アルバイトやインターンで心理学に関係する経験を積み重ねる

心理学に関係する実務を学生時代から積むことの重要性は就職時の学歴に関係なく同じです。そのことはこの記事でも解説してきました。

しかし、就活を考えるなら3年しかない学部生は意識的に経験を積むことが必要です< /p>

とはいえ学部生でカウンセリングの実務を積むことはほぼ不可能です。そこで、給料がもらえるアルバイトの中で心理学に関係する領域で実務経験を詰める積めるものは例えば以下のものがあります。

  • 発達障害児専門の塾の講師
  • マーケティングリサーチを行う企業での質問紙作成補助
  • 大学の研究室(心理学や精神医学)の研究補助アルバイト

最初の2つは東京や大阪のような大都市にしかないかもしれませんが、研究補助アルバイトは学内ですし、研究の一端を垣間見ることができるかもしれません。

次に給料が出ない実習やボランティア活動を紹介しておきます。いずれも国の組織に関係しているものです。

  • BBS会
  • 法務省・人間科学系インターン/家庭裁判所調査官のインターン

このうち、BBS会は様々な問題を抱える少年たちの遊び相手となりながら彼らの成長を見守るものです。基本的には少年院に収容されなかった、あるいは出院後の少年たちが相手になると思います。

そのほか法務省・人間科学系インターンがあります。私自身も参加しましたが、行かないとわからない少年院の現状も多く学びがありました。

詳しいことはこの記事を読んでみてくださいね。

ここまで5種類の経験を紹介しましたが、探せば様々な領域の経験を積むチャンスがあります。将来進みたい進路に向けて早いうちから経験を積むことは、学部卒の場合特に大事です。

大学の授業を大事にする

私のような、民間企業で心理学の研究開発をする人はまだまだごく一部。多くの場合は公務員心理職を目指すはずです。それなら心理学の筆記試験を合格する必要があります。

民間企業の心理系R&Dの場合、心理学の筆記試験はほぼありません。

ライバルとなる大学院生は2年以上「心理職として採用される」ことを目標に勉強しています。その差を埋めるために学部の1/2年生のうちから予習復習をして準備しておくことが大事です。



心理学の勉強が足りず民間企業しか受けられなかった私としては、本当に早いうちからの勉強は大事だと何度でも言っておきます。

まとめ

最初に書いた通り、心理職として採用されるためにはほぼ修士号は必須です。しかし心理学を「活かして」働けるならOKであったり、最初の数年間は給料が安くても良いならば学部卒でもチャンス多くはあります。

私自身も学部卒で心理職(というよりも実際は心理学を活かしたR&Dですが)として働けて良かったです。

ですので、学部卒だから、大学院に行けないから…ということで目標を諦めず可能性を模索してもらえれば幸いです。応援しています。

*1:心理学の専門性を活かした仕事

*2:公認心理師法第7条第2号に規定する認定施設

*3:一定の単位を取得したうえ

*4:少年院とか

【企業研究】就活向けに「技報」が役立つ理由

こんにちは。

心理学を活かして企業に就職したいけど、各社の「今」の研究内容を知らないと難しい...という人も多いのではないでしょうか。

そんな人におススメしたいのが各社が発行している「技報」です。今回は「技報」とは何か?を解説するとともに、心理学専攻の人を採用してくれそうな企業の「技報」を紹介してみたいと思います。

 

技報(テクニカルレビュー)とは

主に民間企業が発行している自社の研究成果を広報するための学術雑誌です。研究成果を宣伝するために企業はいろいろな方法を使いますが、あくまでも技術的なところに焦点を当てているため技術的な用語がドンドン出てきますし、学術雑誌なので一部の企業はJ-STAGE経由で見ることもできます。発行頻度は企業によって年1回~年2回の発行が通常です。

多くの場合執筆者は社員になっていますが、パナソニックのように招待論文という形で外部の研究者も記事を書いているケースがあります。


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なぜ技報が重要なのか?

企業研究のためにいろいろなサイトをみたりインターンに行ったりすることはあると思いますが、どうして技報が大事なのでしょうか?

まず近年アツかった研究開発の内容を扱っているからです。多くの会社の技報では、その年に発売あるいは公開された実際の商品に採用された研究成果を扱っています。そのため、実際に実用化された研究成果について知ることができるのです。

学会誌に掲載されている研究成果は、いろいろな事情によって実用化を諦めたものもあるので実用化にこだわりを持つ人にとってはとても参考になる資料といえます。

 注意

会社にもよりますが、技報に載っている研究成果は数年前から研究していたというケースもあるので、入社時にその研究をしているかはわかりません。



次に、自社がなぜこの研究開発に挑んだのか?がかなり細かく書かれているからです。学会誌にある論文の序論にも研究の動機は書いてありますが、技報では具体的な製品を意識しいるため、なぜその製品を改善しないといけないのか?という観点が書かれています。そして研究成果といっても学会誌のような基礎研究だけではなく、加工技術などの量産化までのプロセスや「今回の開発ではここを工夫した!」というような社員の熱意みたいなところも書いてある企業もあります。こういう企業の研究開発方針が垣間見えるのは技報の大きな魅力です。

最後に、どの事業部がどのような研究をしているかがわかるからです。社員が学会誌に論文を投稿する場合、所属が会社までになっているケースも多くあります。しかし技報の場合ほぼ全ての企業でこの社員はどの事業部にいるのか?場合によってはどの部署にいるのか?というレベルで所属が書かれています。

所属がわかるとどんなメリットがあるの?と思うかもしれませんが、就活の面接・内定後の配属先選びでかなり役立つのです。特に職種別採用の企業であれば、技報に書かれている××の研究開発をしたいので、××を研究した社員が所属している○○部志望ですと言えば説得力が増します。

私は総合職採用ですが、配属面談のときに○○という学会誌(結構最近の研究だった)に書かれている××というテーマをやりたいので、その研究をしている社員がいる△△事業部に行きたい!と伝え、実際その事業部に配属されています。こういう例からみても、企業の研究成果をちゃんと追いかけてから就職し部署の志望をすることはとても大事です。

実際に技報を紹介

メーカーを中心に多くの企業が技報を発行しています。ただ、技報を出している全ての企業が心理学出身者を採用してくれるわけではありません。というわけで、心理学専攻の人が採用されているのを見たことがある、あるいは採用されそうな企業をピックアップしました。その中でも人間の研究に関係している研究を紹介してみることにします。

三菱電機

言わずと知れた大手電機メーカー。家電メーカーのイメージが強いかもしれませんが、重電システム・産業メカトロニクスで売り上げの5割を稼ぎだし、家電の売り上げは全体の2割程度になっています。なお新卒採用は総合職(事務系/技術系)採用となっています。

かなり技報を積極的に出す企業の1つで、「三菱電機技報」の名前で毎月特集する内容を変えて発行しています。ちなみに毎年1月号は「技術の進歩」として総覧的なものになっています。

今回紹介するのは、小型掃除機を利用するときの身体的な負荷を生理計測を用いて検討し実際の開発に生かしたケースです。

JR東日本

首都東京を走る鉄道でおなじみ、近年は北陸新幹線や北海道新幹線といった新幹線の強化を行っています。新卒採用は総合職とエリア職に分かれています。

心理系人材が応募する場合、どの区分*1で応募すべきかは不明です。ただ、過去にはインターンで「安全・HMI」を研究開発テーマの一つとして募集していたことがあり、何らかの形でそういう人材のニーズはあると思われます。

「JR EAST Technical Review」の名前で発行していますが、年ごとに発行回数は異なっています。

発刊の目的の1つとして「弊社の現在抱えている技術的課題を社外の皆さまに理解していただき、優れた技術シーズを持った技術企業や研究機関と連携することにより、新しい時代に相応しい技術やサービスを生み出していきたい」とあるので、自社の研究成果を広報するというよりも、自社の現状を粛々と報告する方針なのかもしれません。

今回はJR東日本内の安全研究所の研究成果のうち、会社が起こした事故などについて、事故後乗客はどのように認知しているのか?をアンケート調査を使って調べたものを紹介します。

鉄道総研

国鉄分割時にJR○○とは別に創設された研究所で、都内に研究所を持っています。研究職と事務職の職種別採用になっていて、心理学専攻であれば人間科学の研究職扱いで学部卒から新卒応募可能です。ただし、人間科学研究部は学部卒のシェアが3%しかないことに要注意。半分近くが修士卒採用になっています。

毎年夏と冬にインターンを募集しており、これには心理学専攻の人も応募可能となっています。

「鉄道総研報告」という名前で毎月1回発行しており、2020年と2019年は1月号を「人間科学」の特集として発行しており、大学以外では日本でトップクラスに人間研究に熱を上げている組織の1つだと思います。

今回紹介する論文は、事故などで長時間停車になったときに分配されるいろいろな資源に対し、乗客はどのような感情を抱くのか?ということを検討しています。

デンソー

いわゆるトヨタグループの自動車部品メーカーであり、独ボッシュについで世界2位のシェアを誇っています。心理学系専用の採用区分はありませんが、新卒技術系では開発・生産領域ごとに職種別採用と総合職採用を併用しています。

「デンソーテクニカルレビュー」の名前で技報を毎年1回発行しており、直近では2013年にHMIを特集しています。

今回の論文はカーナビなどの操作性を因子分析したものです。引用している文献も有名どころが多く参考になります。

終わりに

ここまで技報を出している会社の紹介をしてきましたが、全ての企業が出しているわけではありません。心理学出身者を比較的積極的に取っている化粧品や食品系はざっと見た限り技報を出している企業は少なく、例えば資生堂や味の素といった企業の技報は見当たりませんでした。

同じく心理系の研究開発職を採用した実績のあるNTT研究所も研究に焦点を当てた技報は出していません。代わりに広報誌的なものを出しています。

技報を出していない企業でも、学会誌に論文を出してはいます。そのあたりを見ていけばその企業が取り組んでいる領域が見えてくるはずです。

そして研究手法も質問紙や行動実験、生理計測と幅広いですし、因子分析を始めとする多様な分析を扱っています。企業に行ってもやっぱりこういうスキルは大事なんだな...と思ってもらえれば嬉しいです。

こちらの記事では生理計測を含め、心理学を活かして企業の研究開発職に採用されるためにやっておいた方が良い経験を紹介したので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

*1:総合職技術系統も複数あります

【理系・心理系向け】企業の研究開発に就職するための筆記試験対策法

 注意

この記事で言う「就活の筆記試験」とは、主に理系の採用で行われる数学や物理、化学の筆記試験を指しています。SPIやTR-WEB、玉手箱の対策については書いていません。


こんにちは。

このサイトでは心理学を活かして企業の研究開発に進みたい!という人向けにいろいろな記事を書いてきました。

例えばこの記事では企業の心理系R&Dを選ぶメリットを解説しています。


そんな心理学出身で理系就職したい!!という人にとって壁になるものはなんでしょうか?もちろん書類や面接も大きな壁です。

しかし、就活の最初の方に行われる筆記試験も想像以上の壁になっています。というわけで今回は筆記試験とは何か?どんな対策をすれば合格しやすいのか?を解説します。

筆記試験とは

メーカー技術系の職種採用時に行われる試験のことです。IT系の企業であればコーディングテストを課す企業が多いですが、一般的なメーカーだと理系科目の筆記試験がメインになっています。

企業によって筆記試験の内容は異なりますが、多くの場合は数学・物理・化学です。食品や化粧品であれば物理に代わって生物が要求されるのかもしれません。問題のレベルとしてはおおむねセンター試験レベルに設定されています。

ちなみに、筆記試験は採用の参考にしか見られていないようです。実際私よりも手ごたえが明らかに良かった人でも早い段階で選考から落とされていました。

そして、同じ企業でも合格ラインは就活生個人によって違うことも。合格ラインを一律平等に決定しなければいけない大学入試や公務員試験と異なり、ぜひ採用したい層や専門外から応募している人にはおおむね筆記試験の合格ラインが引き下げられていたように思います。私のように、基本的に文系出身である心理学専攻はかなり甘めに見てもらえていました。

このように最初の足切りとして使われる筆記試験ですが、心理学専攻の人にとって「何も対策しなくても受かる」ほど甘くはありません。そこで今回はまず何から対策すればいいのか?を解説します。

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数学に重点を置く

多くの場合、数学・物理・化学が出題範囲である筆記試験ですが、どの科目から対策すべきなのでしょうか。

心理学専攻で技術系就職を狙う場合、最も重点を置くべきは数学です。そもそも高校で勉強していないことの多い物理や化学と異なり、数学であれば出題範囲を履修しているはずだからです。

私は複数の企業を技術系で受けましたが、筆記試験があったほとんどの企業でセンター試験レベルが出題範囲になっていました。

理系といっても物理系、生物系では大学でやっている内容が全く異なります。しかし企業は理系を一括で採用しているのが実情です。そのため、理系であれば全員が解ける範囲しか問題に出して基礎学力を見ることになります。


参考までに理系の人が受けるセンター試験の科目を見てみると数学1A&2B、物理、化学となります。つまり、物理化学は学校でやっていなくても、数学については高校時代に履修している*1はず。

企業への応募を決めてから筆記試験当日まで、長く見ても1か月程度でしょう。そんな状況で、一度全範囲を勉強しているというのは非常に大きなアドバンテージ。よほどのことがないとひっくり返せないメリットですし、実際私は数学を武器に今の会社に入っています。

配点面で見ても、物理・化学に比べて問題量的に数学を重視している企業も多くあります。そのため、理系と対等に戦うためにも数学対策は必須です。

では、どこにヤマを張るべきなのでしょうか?就活時の経験からして微積分だと思います。就活でも複数の企業で出ていましたし、時間ごとに区切って考える微分や、面積に落とし込んで考える積分の考え方は就職した今でも使うくらい仕事でも役に立つからです。

物理・化学では「あまり差がつかない」?

きちんと対策すれば文系でも高得点が狙える数学に対して、物理・化学は理系学生でも苦戦することがある科目です。私の同期(もちろん理系出身)に話を聞いても、「全くわからなかった」という人もいます。それだけ差がつきにくいのでしょう。

それでもある程度ヤマを張って対策することは可能です。機械系メーカーを中心に受けえた私の場合、物理では力学、化学では理論化学が重点的に出た企業が多かったように思います。特に化学では暗記がメインになる領域、例えば無機化学などはほとんど出ていませんでした。

そのため、物理では力学、化学では理論化学の領域に絞って、計算をきちんと自分でしながら勉強を進める必要があると思います。理解すれば点数に繋がりやすいこれらの分野に絞り、それがダメなら仕方ないと割り切るくらいがちょうどいいです。

ネットのサイトを使って勉強しよう

高校時代の教科書は捨てている人が多いでしょうし、かといって参考書を新たに買うにもおカネがかかります。おススメはネット上のサイトで勉強することです。

最近はYoutubeをはじめ動画のコンテンツが充実しています。しかし、そもそも面接などで外出が多い*2、就活生にスマホで動画を見ろ!というのは通信容量の観点から厳しいです。というわけで、動画ではなく文章と図で解説してくれているサイトに絞って紹介していきます。

レベルは次の私がサイトを読んだ上で、次の基準で決定しました。
1...完全な初学者。授業でその科目を取っていなかった。
2...習ったけどその科目のことはほとんど覚えていない。受験で使わなかった。
3...センター試験ではその科目を使った。ある程度は内容を覚えている。
4...それ以上。私大や国公立大の2次試験で使った。



科目...物理基礎・物理
レベル...1
特徴...わかりやすい例えや図が多い。微積分を不使用。

高校物理のサイトでは一番わかりやすいサイトです。理論的な解説だけではなく初歩的な問題を実際に解きながら解説してくれています。就活中はもちろん、就職後の今でも読んでいます。内容のわかりやすさもそうですが、なぜ高校ではこういう問題しか出せないのか?ということも説明してあり、それも物理の理解に役立ちます。

また、現行課程になって全員が学習することになった物理の原子分野もきちんと解説されています。まあ、メーカーの筆記試験では問われなそうな内容ですが...

科目...数学(1A~3)/物理基礎・物理/化学基礎・化学
レベル...3~4
特徴...多様な問題の解法を網羅している。問題演習用としてGOOD。

勉強の解説サイトとして長い歴史があるサイト。私も受験生の時から使っていました。各科目のほぼ全範囲をきちんと網羅しており、例題と解説が載っています。改訂が今でも行われているサイトなので信頼性は高いですが、初学者が読むには厳しいかも...。

科目...数学(1A~2B)
レベル...2~3
特徴...各単元のポイントを端的に抑えている。センター試験の過去問と解説あり。

数学は「一応は高校でやった」という人が多いはず。そういうわけで簡潔にポイントを解説しつつ、センター試験レベルに繋がっているサイトを紹介します。解説は簡潔丁寧ですが、数学Bのベクトルは解説されていないことに注意。


科目...化学基礎・化学
レベル...1~2
特徴...一般的なウェブサイトとしては高校化学の網羅性がピカイチ。

高校化学をきちんと網羅しているサイトは意外と少なかったです。その中で全範囲をきちんと網羅しており、解説もかなり初歩のレベルから解説してくれています。

また、化学メディアとしての側面も持っているため、化粧品など化学が重視されそうな領域に行きたい人は、「化学ってこういう風に役立つんだなあ」というイメージができるかもしれません。


まとめ

就活における理系科目の筆記試験は、文系出身が多い心理学専攻の人にとって、確かに壁になるものです。しかし、1か月程度の限られた時間でも、それなりの対策をすることは可能です。今回の記事がその例になっていれば幸いです。

*1:多くの高校の文系コースでは数学1Aと数学2Bを履修することになっています

*2:今年はコロナでそうじゃないかもしれませんが

【メーカー】就活に役立つ?心理学研究者のバックグラウンド4選

こんにちは。

私は学生時代に心理学を専攻し、メーカーに来て心理学を活かした研究開発業務をしている、日本ではまだまだ珍しいタイプの社員です。

今の職場の同僚や上司を見ると、「学生時代心理学をしていた人はほとんどおらず、むしろ心理学を全くやっていないのに心理学を活かした研究開発をしている方が多い!」とすごくビックリしました。

というわけで、心理学を活かして働きたいけど一緒に働く人はどんな人なの?という疑問を持つ人に向けてこの記事を書いていきます。

新卒や若手の心理学人材は心理学のスキルを活かして人間のいろいろを研究開発することが期待されている、という考えから心理学に限らず人間に関わる幅広い研究をこの記事では扱います。

 

そもそも心理学の研究開発を大学ではなく企業でする社員側のメリットについて知りたい!という方はこちらの記事をご覧ください。

 

大きく4種類に分けられる

分け方はいろいろあると思いますが、今回は「どのようなルートで心理学の研究をする部署に来たのか?」という基準で分けてみました。

業界によって分類ごとの比率は異なりますが、少なくともいろいろなバックグラウンドの人が同じ部署にいることは共通しています。

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①心理学専攻出身者

おそらく企業で心理学を研究している方の1割くらいでしょうか。まだまだ少ないのが実情です。企業にもよりますが、心理学の中でも学習や認知、生理といった領域出身の方が多いように感じます。

臨床系の方は、研究開発ではなく安全衛生や産業カウンセラーとして企業に来ていることが多いです。


年齢的には30歳前後の方が多いです。 学会誌等に出てくる研究者の経歴や企業の求人を見る限り博士卒やポスドクが多く、私のような学部や修士の新卒はほとんどいないはず。

当たり前ではありますが、心理学の研究をやりたい!というモチベーションで会社を選んでいることが多いグループです。

 

②人間を扱う分野の出身者

例えば脳科学や生体工学、心理物理学や感性工学をやっていた人などがここに入ります。私の知る範囲では修士卒くらいの方が多いです。比較的新卒で入ってきた人が多く、大学での専攻を活かした業務をしています。

心理学専攻の人が企業に就職したとき、直属の先輩になる人はこのあたりの出身ではないでしょうか。 分野の違いはあっても学生時代から人間を扱っていて、専門の機器の扱い方の知見が深かったり、積極的に論文を出されている方が多いように感じます。

心理学専攻とは異なり、就活時に自分の専攻を活かして就職しやすいです。そのため、心理学や人間には興味あるけれど、それ以外の理由も含めて本人が今いる会社を選んだ人が多いように感じます。

 
時々所属先が企業になっている研究者がいますが、こういった人に学会のポスター会場で話を聞いてみると、この立ち位置の方が多い気がします。

③他分野出身

化学とか天文学、素粒子など分野はいろいろですが心理学や人間とはかなり離れた領域の出身者がここに入ります。企業に来て初めて人間を扱う研究を始めたという人が多いです。割合的には全体の半分くらいで、部署の中では一番多いタイプです。

その会社が心理学や人間の研究開発を始めてからずっと心理学などの研究をしていることも多く、会社としてどのような研究成果を出したいのか?といった立ち位置も意識しておられます。

 

年齢的にも30代くらいの方が多く、第一線の研究開発者として引っ張りだこの方が多いです。年齢層だけで考えれば新入社員の直属の上司になる世代であり、大学で言えば専任講師*1のイメージで考えてもらえばいいでしょう。年齢的にもこのあたりの方が社会人博士を狙うのではないでしょうか。

社会人であり一定の実務経験があれば、学部・修士課程をスキップしていきなり博士課程に入学することも認められています。

 

④管理職

この層の人は、自分がテーマの主担当として研究をすることは少ないです。 心理学や人間の研究を長年やっている企業でなければ、「この部署に来て初めて人間の研究開発をする」というケースも多いです。

管理職という名前の通りマネジメントがメインの仕事です。そのため、予算を獲得してきたり社内での研究テーマ決定権を持っていたりします。また個別の研究テーマの成否だけでなく、部署として限られた資源をいかにうまく回すか、今後この部署はどのような仕事をしていくべきなのか?を考えています。 組織の運営という意味では大学の教授に近い立ち位置です。

 

就活生側の目線で言えば、一次面接でたまたま心理学を始めとする人間の研究をしている人に当たらない限り、面接で会うのはこの管理職層が多いです。

就活生側としてどう対策すべきか?

出来るだけいろいろな層の社員と話をすることが大事だと思います。

良し悪しは別として、心理学専攻の人を新卒で採用し、育成するだけの余裕があるのは日系の大手メーカー、はやりの言葉で言えばJTCが多いです。

文系の採用と異なりジョブローテーションを前提としていない、ある程度専門性を重視したうえで採用育成を行う企業もあります。これは職種別採用を行う企業、心理系人材を採る企業で名前を上げれば資生堂のような企業だけではなく、あくまでも技術系の総合職として採用する企業も同様です*2*3

とすれば、基本的にはある程度長い目で働いてくれる人を会社として採用したいでしょうし、就活生側も長期的に自分の専門性が活かされそうか?という観点で企業選びをする必要があると思います。

また、社員の方に質問をするときには、「この人はどういうバックグラウンドで仕事をしているのだろう?」ということを意識したうえで質問をしないと、自分には全く役に立たない回答が返ってくることになります。まずは目の前にいる心理学を研究する社員が、ここで書いた①~④のどれに当たる方なのかを掴みましょう。

ここでは詳細な面接の対策については書きませんが、興味のある方はこちらの記事を読んでみてください。



例えば、相手が若手、本記事でいう①や②の人であれば「自社を選んだ決め手」や「どのような育成、サポートがあったか?」を聞けば、今後数年の自分の仕事が予測できます。

 注意

研修を始めとする人材育成の方針は、様々な事情で突然変わることがあります。それだけを当てにして会社を選ぶと痛い目にあうかも。


逆に④の管理職層が相手であれば、オープンになっている会社の戦略に対して、心理学や人間研究をする部署がどのように貢献していくつもりなのか?あるいは心理学人材に何を期待しているのか?といったことを聞ければ有用な回答が得られるかもしれません*4

 

 注意

会社の経営戦略に直接リンクするところなので、工夫して質問をしないと回答を拒否されたりはぐらかされたりします。


心理学を活かして企業に行きたい方は、たとえ同じ部署の人でもバックグラウンドによって聞ける話が全く違うことを意識して面接対策をするといいのではないでしょうか。この記事が少しでも役に立てれば幸いです。

*1:助教の1つ上の職位

*2:部署移動はありますが、それは定期的に行うものではなく業務上の必要から臨時に行うものとなっているということを意味しています

*3:とはいえ、いわゆる「配属リスク」は存在します

*4:株主向けの情報であるIR情報を参考にすると、会社の経営戦略が見えてきます

発達障害者の就活、勤務地のことちゃんと考えて!

こんにちは。

このブログでは発達障害を持つ学生の新卒就活を一つのテーマとして書いてきました。
今回は就活をする際に考えたほうが良さそうなこととして勤務地について書いてみます。

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給料や会社の知名度に引っ張られて新卒就活時(特にクローズ・一般枠で就活する場合)に忘れがちな内容です。しかし状況の変化等でストレスを感じやすい発達障害の人は特にちゃんと考える必要があります。

ちなみに1口に勤務地といってもいろいろありますよね。
・転勤族(銀行のように数年ごとの転勤が前提になっている)
・首都圏
・大阪・名古屋とその通勤圏内
・政令市(福岡や札幌・仙台・広島などを想定)
・そのほかの地域

転勤の多さは業界ごとにおおむね決まっていますが,同じ業界でも転勤が極端に少ない企業もあったりします。しっかりと調べることが大事です。

転勤族は環境の変化に弱い*1発達障害の人には向かない気がしますね。

障害者枠の場合は転勤ナシという形で考慮してくれるケースもありますが,クローズ就労の場合基本的に勤務地は考慮されません。東京の本社勤務希望だったのに,実際の配属先は電車が1日数本しか走っていないど田舎というケースも多々あります。

 注意

「勤務地は社員の希望を最大限考慮します!」と言っていたにも関わらず、数10人単位の新入社員を全く希望しない勤務地に配属した会社を知っています。なので就活時の先輩社員の甘い言葉に騙されないでください。


特に拠点が複数ある企業の場合,最初の配属地が入社するまでどこになるかわかりません。ですから配属されうるすべての地域・拠点について下の条件を満たしているかをチェックするのが大事です。

 

マイカーレス通勤(公共交通機関での通勤)が可能であること

発達障害による困りごとは個人によって差があります。しかし,注意欠陥やこだわり傾向などがあって困るのが車の運転です。

私も車の運転はとても苦手...自動車教習所の卒業検定で何回も落ちたくらい苦手です。
そういう人がマイカー通勤しないといけない地域で働くと,当然を事故を起こすリスクは高くなります。

また,地域にもよりますがマイカーを持つと,保険料や税金,駐車場やローンなどを含めると月々3~4万円が追加でかかることも(都市部で車を所持するとさらにお金がかかります)あります。精神科やカウンセリングルームにそれなりのお金を割く人にとって,このお金を負担するのは困難です。

ということで,公共交通機関で通勤可能な地域で働くことをおススメします。

では具体的にどの程度公共交通機関が充実してれば公共交通機関で通勤できるのか?ですが就活中の経験から私は次のように考えていました。

特に高校まで地方にいた方,「高校時代なんとかなったから、就職後も1時間に電車が1本でも通勤できる!」と甘く見ていると後悔するかもしれません。
  • 特急を除いて通勤時間帯(行き帰り)で20分に1本以上
  • 特急を除いて日中の時間帯で30分に1本以上

首都圏・近畿圏に住んでいる人なら「こんなの当たり前でしょ!」と思うかもしれませんが,全国レベルで見ると,この条件を満たしていない地域はたくさんあります。

人口50万人を下回るような県庁所在地に向かう電車(例えば鳥取市・松江市)では電車が1時間に1本しかないのは主要路線(鳥取・松江市の場合は山陰本線)でもよくあるという状況です。

またその他の県庁所在地に向かう電車でも、閑散路線であれば通勤時間帯でも2時間に1本というケースもあります。

田舎ならバスもそれなりに使えるしそれでいいじゃん!と思う方も多いでしょう。もちろん鹿島神宮ー東京間のように高速バスが充実している地域もあります。
 

しかしバスの場合,土日は極端に本数が少なかったり,最終のバスが早いことが多いため,あまりあてにしないほうがいいと思います。

しかもバスの本数は電車よりも簡単に減ってしまいます。例えば私は本が好きで図書館によく行くのですが,最近図書館に向かうバスが大幅減便になって困ったことになっています...

安心して通える精神科がある

特に発達障害をクローズにして就職する場合,障害に対するケアは全て自己責任で行う必要があります。会社の産業医にオープンにするのは難しいもの*2。私の場合会社に来ているカウンセラーさんにもとても話せません。

そのためクローズで働く場合,勤務時間外に自分で探した病院に行く必要があります。

それだけでも大変ですが,就職を機に引っ越す場合,安心して通える精神科を就職した地域で新しく探す必要があるということです。

当たり前ですが田舎であればあるほど精神科の数も少ないもの。

自分が勤務する可能性のある地域に,安心して通える病院が本当にあるのか?は就職前に確認しておきましょう。ネットで検索すればある程度はわかるはずです。

最終的には医師・カウンセラーとの相性もありますが,ある程度は病院の評判を調べることも可能です。ここなら信用できそう!という病院があるかないかで安心感は大きく変わってきます。

障害者枠で応募できる企業が多い

これから就活をする人にとっては残酷ですが,就職したはいいけど一般枠では定着できる見込みがなかった...こともありえます。というか私もそういう方を多く見てきました。

そうなると障害者枠での転職を考える必要がありますが,私が調べた限り障害者枠の仕事は地方では極端に少ないです。

あくまで新卒に限定してざっと調べた範囲ですが,東京23区での求人数を100とすると,地方の政令市では10あるかないかという感じでしょうか。そしてその中には薬剤師など特殊な資格が必要なケースも含まれています。

終身雇用がかなり維持されている(正規の)公務員は魅力的ですが、精神は実質お断りというケースもあるらしいので当てにしすぎないようにしましょう!

 

そういう観点から、まず自分が就職したい!と考えている地域に障害者雇用で応募できる企業がどれくらいあるのか?は調べておくのが大事。

いざとなれば転職すれば大丈夫!というのはメンタルを安定させるためにとても役に立ちます。

まとめ

就職する前から「もしものときのこと」を考えないといけないの??と思う方もおおいでしょう。しかし早いうちから就職後の生活をイメージして用意をすることで,こころの健康を守ることができます。

あくまで私個人の考えなので参考程度にしてもらえれば幸いです。大学のカウンセラーさんなどいろいろな方に相談し,決めてもらえればと思います。

*1:もちろん人によります

*2:産業医経由で上司に筒抜けになったケースを聞いたことがあります

【後悔】心理学を生かした企業就職に向けた「ガクチカ」の話【実体験】

こんにちは。

現在私は、民間企業の心理系技術職として仕事をしていますが、今になって考えると「就活前にこんな準備をすればもっと満足度の高い就活ができたかも...」というものがいくつかあります。

今後「ジョブ型雇用」が新卒にも適用されるため、就活前の段階である程度のスキルを要求されると思います。というわけでこんなことができるといいかも...ということを書いていきますね。

 

POINTこの記事は心理系技術職としての就職を目指すときに、あるといい経験・スキルを解説しています。

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心理学→企業就職の一般的な話を知りたい!という人はまずはこちらを読んでください。

学位

専門を生かさない文系就職であれば学部卒で就職するメリットが大きいです。しかし、カウンセリングなど臨床系の心理職やエンジニアとして採用される心理系技術職の場合学位は重要だと思います。

どこの大学を卒業したか?といった学校歴(就活でよく言われる学歴)も大事ですが,学部卒なのか修士なのかはそれと同程度,あるいはそれ以上に重要なケースもあります


理系など専門を生かした就職の場合,学部卒と院卒(修士)によって初任給が異なりますし、そもそも心理系の人材を積極的に採用する公務員の心理職やメーカー大企業の技術職は採用の大部分が院卒(修士・博士)です。

民間企業でも、JREC-INなどに出てくるような心理学の求人だと修士以上を明記してくるケースもありました。

もちろん公務員の心理職は制度上学部卒でもなれますし、法務教官のように学部卒でも実際に採用されやすい職種はあります。しかし、特に基礎・実験心理学の専門を生かした科警研や実際に政策立案を行う厚労省といったポストでは,実際に採用されている方の多くが院卒です。


公務員について詳しくはこちらをどうぞ。


民間企業に目を向けても、採用されてこなかった博士卒の学生が積極的に採用されるようになってきたこともあり学部卒での採用枠は縮小傾向にあります。心理学を生かして就職したいのであれば院進学はほぼ必須と考えたほうが良いでしょう。

HPなどのアウトプットを作る

いわゆるUXデザインのお話です。近年のコモディティ化に対抗していくため、消費者の体験に注目する企業が増えてきました。その過程で従来からデザイナーを自前で採用していた企業だけではなく、新規でデザインができる人材を新卒で採用する企業もあります。

このUXデザインの中では様々な心理学の理論が適用されたり、質問紙を含む様々な手法での計測が行われ心理学の専門性を生かしやすいのではないでしょうか。

しかもこの中にはIT企業も多く、初任給高め(概ね23万円程度)、勤務地が東京近辺or大阪などメーカー技術職に比べて魅力的な数字が並んでいます*1

私もそう考えて「よし応募するぞ!」と思いいろいろな大企業のサイトを見てみたはいいものの...

ほぼ全ての企業でポートフォリオ提出という課題が新卒にも課されていました。ポートフォリオとは自分の過去の作品をまとめた資料のことで,これを使って書類審査が行われます。しかし工学部系のインダストリアルデザインや専門学校ならまだしも、心理学系の研究室で作品を意識的に作ってきた研究室はなかなかないのではないでしょうか?

結果として私はこれらの企業に応募しませんでした。

心理学を生かした就職のチャンスを少しでも広げたい、できれば大都市勤務がいいな...と言う方は「プログラミングでHPを作ったり,何らかの形でモノをデザインする経験を積む」ことを強く勧めます。アルバイトやインターンなどでそれらの企業を選ぶとお金をもらいつつポートフォリオに使えるモノを作れるはずです。

こういった実績はUXデザインの就職だけではなく、それ以外の就職にもきっと役に立つはずです。

もちろん、RやPython、Excel VBAといったプログラミングで解析等ができるという意味のアウトプットも大事です。こういったスキルは間接的に企業でも役に立っています。

物理・化学の勉強

心理系技術職として企業に応募する場合、SPIやTG-WEBといったウェブテストとは別に筆記試験を要求されるケースが多くあります。

もちろん筆記試験の結果だけで採用が決まるわけではありませんが、最低限の基準を満たさない人を不合格にするために使われている側面もあるようです。

心理学専攻の人だと,高校でも学んだし、大学でも生理心理学を勉強するタイミングで勉強したから生物はわかるけど、物理と化学はさっぱり...という方も多いのではないでしょうか。

大学レベルの物理・化学まで勉強する時間はないでしょうし、筆記試験の段階でそこまで要求する企業は決して多くありません。

それよりも現行課程*2の高校レベルの物理・化学を勉強しておくと、貴重なチャンスを逃さずに済みます。

私のように,入社試験前の数日で0から化学を勉強することにならないでくださいね。

動物実験の経験

就職に直接役に立つとは思いませんが、動物実験の経験はあったほうが良いと思います。というのも、企業で扱う研究テーマの中には生理に関連するものが多くあるからです。業界にもよりますが特に化粧品や食品系では多いはずです。

直接生理的な指標を扱わない人でも、研究テーマを理解するために論文を読んだとき、脳波など生理の領域がわかりにくいということもあります。もちろん教科書をしっかりと読んで学習することも大事です。しかしこういった生理のことをよく理解するために、動物実験で脳の一部を刺激する、あるいは組織の破壊を行うなどの経験はとても役に立つと思います。

その一方で、企業ではサルやマウスといった実験動物を用意するお金が大学に比べて乏しいのが実情です。また労働時間の管理にシビアな企業の場合、人間と生活する時間が異なる動物を世話することの難しさもあります。

動物実験を比較的重視する化粧品業界などでも、近年は動物愛護や企業倫理の観点が強く求められるようになっています。こういった事情で、年々動物実験はなるべくしなくても済むように、他の方法で代替できる方法を模索しているのが実情です。

とはいえいろいろな方に聞く限り動物実験はとても大変なようです。そのため研究テーマの一環で動物実験を選ぶほど必須だとは思いません。ただ大学内でのアルバイトだったりなんらかの実習などの機会を活用して動物の操作を体験しておくことは就職、そして就職後も役に立つと思います。

アンケート調査の経験

実験やケースのみで卒論を書く人もいますが、私は質問紙(アンケート)を使った研究を勧めたいです。それも、既にある尺度を流用するのではなく、可能であればアンケートを自作する経験があったほうがいいと思います。

というのも、アンケートに関するスキルは実験系のスキルと違って活用できるチャンスが企業においても多いからです。ほとんど実験はしないけど、アンケート調査はする、でもそのアンケートの質は...というケースも残念ながら散見されます。

アンケートを使った研究をしない場合は、アンケートを使った業務をしている企業、例えば人材やマーケティングリサーチといった会社でアルバイトやインターンの経験を積んでおくといいでしょう。

実際に会社で使われているアンケートを見たり分析する中で、企業に入ってからの仕事に生かせるスキルが身につくはずです。

まとめ

大学時代は就職のことはあまり考えたくない、という気持ちは私にもよくわかります。そもそもガクチカのために学生時代の経験を選ぶ姿勢が望ましいとは思いません。

とはいえ採用枠が非常に少なく、理系の人とも競合しがちな分野である以上、何の戦略もなく企業で心理学の業務ができるとは思えません。先輩方を見ても、研究室選びあるいはそれ以前から戦略的に実績を積んだり、大学での学びを深めることが心理学を生かした就職につながっているように感じます。

この記事を参考に、低学年のうちからいろいろ考えて実績づくりに挑んでもらえればと思います。

*1:メーカー企業の魅力は、労組によって守られたワークライフバランスや独身寮などあまり数字に出てこない部分なんですよね...

*2:2015年3月以降に高校を卒業する人が勉強していた課程